井筒の若きパトス溢れるロシア文学論。
▼初期代表著作の『露西亜文学』『ロシア的人間』を収録。その他、初期の思想形成期に特徴的な「詩と哲学」の関係を論じたエッセイや、井筒の「ロシア」への若き時代のパトスに溢れた著作群を収録。
▼解題では、各著作の基本的な書誌情報に加えて、『ロシア的人間』初版と底本(著作集版)の間の重要な校異を収録。
▼山城むつみ氏、沼野充義氏、谷寿美氏ら豪華執筆陣による月報付。
凡 例
一九五一年 露西亜文学 第一章 露西亜文学の性格 / 第二章 露西亜の十字架 / 第三章 ピョートル大帝の精 神 / 第四章 プーシキン / 第五章 レールモントフ / 第六章 チュチェフ / 第七章 ゴーゴリ
一九五二年 マホメット 一 序 / 二 沙漠の騎士道 / 三 享楽と苦渋 / 四 マホメットの出現 / 五 預言者召 命 / 六 メッカの預言者 / 七 メディナの預言者
トルストイに於ける意識の矛盾性に ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 井筒 俊彦(いづつ としひこ) 1914年東京・四ツ谷生まれ。1937年慶應義塾大学英語英文学科卒業、同大学文学部助手。1941年『アラビア思想史』、49年『神秘哲学』。1959年から2年間にわたって中近東・欧米でイスラーム研究に従事。1961年マギル大学客員教授、69年同大学イスラーム学研究所テヘラン支部教授、75年イラン王立研究所教授。 1979年イラン革命激化のためテヘランから日本に帰国。『意識と本質』(1980-82年)、『意味の深みへ』(1985年)、『コスモスとアンチコスモス』(1989年)、『超越のことば』(1991年)、絶筆『意識の形而上学』(1993年)など代表著作を発表。1993年北鎌倉の自宅にて逝去(78歳)。
【解題・索引】 木下 雄介(きのした ゆうすけ) 中央大学、学習院大学、駒澤大学非常勤講師(フランス語)。 1957年東京都生まれ。1980年一橋大学社会学部卒業。1986年東京都立大学大学院博士課程満期退学。フランス文学・イスラーム哲学専攻。 主要業績:「不可解なペニュルチエーム――マラルメの散文詩『類推の魔』について」(『東京都立大学人文学報』1984年)、「イブン・シーナーの魂論」(『イスラーム哲学とキリスト教中世』I、岩波書店、2011年)、イブン・シーナー『魂について』(翻訳、知泉書館、2012年)等。
|