No.1297(2025年3月号)
特集
No.1297(2025年3月号)
特集
三田評論
2025年3月号表紙
特集「東アジアから考える国際秩序」では、戦後アメリカ外交の中核であったリベラルな国際秩序を否定し自国優先を主張するトランプ政権の再登場を前に、東アジアの三国の立場が検討された。覇権主義国家中国は、国内法を整備しルール重視の姿勢を強調して中国を中心に「法空間」を巧みにつくりつつある。北朝鮮は、過度の中国依存から脱却し、「主体」の維持を重視している。韓国は、安定しているようで安定しておらず、戒厳令はその例。保守派と進歩派間の溝が一層深まり、最近好転してきた日韓関係も不安定化の懸念。「大豆の力」(三人閑談)は、世界で栽培されている大豆の九割以上が採油目的。日本だけが大豆加工食品と発酵の文化を発展させてきた。海外の「大豆の絞りかすは家畜の飼料」のイメージをいかに払拭させるか、中国の人たちが豆腐を冷奴で食べれば消費量は飛躍的に増える、たんぱく源としての納豆菌粉が将来食糧危機を解決するとの話も興味深い。
(田中俊郎)
慶應義塾大学の東アジア地域研究は、石川忠雄元塾長のもと設立の地域研究センターに遡り、それから40年。着実に発展し、多彩な研究成果を挙げています。今号の特集は、現在活躍中の気鋭の研究者を多数集めた40周年記念シンポジウムの2つのセッションを収録。まさに激動期を迎えている国際秩序に対し、東アジアの視角から考えていきます。
私たちの食生活に欠かせない大豆。醤油や味噌の原材料であることは言うまでもなく、栄養価の高さとヘルシーさから、豆腐やもやし等の食品にも再び注目が集まっています。先端科学の領域では「納豆菌」の研究が進む中、貴重なタンパク源としての新たな可能性に迫るべく、大豆の力を知る皆さんに大いに語っていただきました。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。