慶應義塾機関誌

 三田評論
  明治31年3月創刊(毎月1回1日発行)
   発行:慶應義塾 編集人:慶應義塾広報室長 編集・制作:慶應義塾大学出版会

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第19──三田評論 2017年10月号

   
 

山中資料センター

 
慶應義塾史跡めぐり
 
   
   
 

山中湖と言えば、体育会の夏合宿を思い浮かべる方もいるだろう。合宿所として使われる山中山荘から少し離れた敷地内に大小二つの建物がある。義塾の蔵書で利用は減ったが知的資産として保存することを決めた資料を収める山中資料センターである。

 


義塾の図書館は国内で屈指の蔵書数を誇る一方で、増加する資料を収める書庫の不足が長年の課題となっている。一九八二年三田に新館が開館した際も書架に余裕ができたと思われたが、遠山音楽文庫に代表されるコレクションの寄贈や、助成金による購入により書庫はあっという間に満杯状態となり、一九九〇年には志木高校の寮跡地へ三田の資料を移動している。書庫不足は三田以外でも深刻で、各キャンパスで資料を置けるスペースを確保しては、資料を移動する作業が行われていた。図書館は塾監局に新たな書庫建設を申請し続け、一九九四年三月、ようやく山中湖畔に五〇万冊を収蔵可能な書庫を持つことが実現した。これが山中資料センター1号棟である。

 


1号棟は完成したが、そこへ移動する資料の選定が大変であった。遠隔地ということもあり、研究資料はいつでもすぐみられる場所にあるべきという教員からの反対は大きかった。FAXで申し込みを受けた資料は宅配便を使って翌々開館日には届け、複写物はFAX送信で翌開館日までには届けるサービス体制を整えることで対応したが、不満は残った。

 


1号棟完成後数年でまた書庫不足が深刻化する。当初山中湖畔には四棟まで建設する計画があったが、1号棟への資料移転に対する不満が大きかったことも考慮し、直接来館可能な東横線沿線にある運送会社の倉庫を借り「白楽サテライト・ライブラリー(以下、白楽)」と称して一九九九年から使うことになった。ところが二〇一三年に再開発の話が持ち上がり、白楽から退去することが決まった。
別の場所を借りるか書庫建設か、学内で検討が重ねられた。学術雑誌や学術書の多くがWEB上でみられるようになり、資料を遠隔地に送っても、以前ほど研究に影響はないという時代背景も考慮し、白楽の五〇万冊に加え、今後の資料増加を見越して百万冊を収蔵する山中資料センター2号棟建設が決定、二〇一六年九月に竣工した。

 


2号棟建設にあたり、コストを抑えるため白楽で使用していた書架を再利用することになり、書庫の分解、運搬、組み立て、資料移動は二カ月を要す複雑な作業となった。

 


なお山中資料センターは、原則直接来館はできないが、書庫内は資料に最適な温度、湿度を保つ理想的な環境で、大切な資料を守り続けている。


(メディアセンター本部課長 松本和子)

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