慶應義塾機関誌

 三田評論
  明治31年3月創刊(毎月1回1日発行)
   発行:慶應義塾 編集人:慶應義塾広報室長 編集・制作:慶應義塾大学出版会

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第15──三田評論 2017年5月号

   
 

慶應稲荷社

 
慶應義塾史跡めぐり
 
   
   
 

慶應義塾信濃町キャンパス東校舎の東側に、小さな社(やしろ)、「慶應稲荷社」があるのはご存知でしょうか。


慶應義塾の各キャンパスの中では、神仏・宗教にまつわるものは少なく、このような社が安置されているのは、珍しいものです。

由来によりますと、信濃町の開設後、大正十一年の頃、医学部の○○長と名のつく人々が次々に死んだり、夜な夜な当直の人の夢枕に神獣が現れなにかしら訴える等の度重なる異変が起こり、人心が動揺してきました。思案の末、浅草のさる占い師に相談したところ、「池のほとり(新教育研究棟北側辺り)に世に出たがっている神様があるから祭ってあげなさい」と御宣託があり、半信半疑のうちに掘り起こしたところ、祠のかけらや水盤など、由縁の品々が出現しました。そこで有志により現在の地に社を建て寄進したところそれからは異変もなくなり、一同安堵したとされています。

信濃町キャンパスの場所は、江戸時代は屋敷が立ち並んでおり、残念ながらその年代の状況は詳らかでないのですが、水盤には嘉永五(一八五二)年とあり、当時の屋敷の中にあった、社が朽ち果てたものと推察されます。明治に入ると、陸軍の練兵所になり、大正六年に陸軍から慶應義塾に払い下げられ、現在に至ります。

慶應稲荷社が建てられた後、毎年初午(はつうま)の祭を催し、昔は近隣住民も交えて、大々的に祭っていたようです。いまは一年に一回三月に神主さんを呼んで、ひっそりと慶應義塾の安全祈願を行っています。

社は第二次大戦の折に全焼し、昭和二十八年に再建され、さらに昭和三十八年に有志による寄付で今の社が建てられました。鳥居は昭和五十四年に木製の鳥居が朽ち果てたため再建されています。
昭和五十九年の病院ニュース二十四号によると、当時、予算の都合で鳥居の再建が難航し、職員が比較的安い鉄パイプの材料を買ってきて、製作したそうです。

この時、この職員のお子さんが危険な心臓の手術を受けることになっておりましたが、手術は無事成功しました。鳥居には稲荷大明神の効験とお父さんの愛情が込められています、との記載があります。

慶應稲荷社は、あまり目立つ場所に建っていませんが、定期的に拝んでいる人や、受験生らしき人、入院患者さんが拝んでいるのを見かけることがあります。

信濃町キャンパスに医学部ができて百年が経とうとしていますが、慶應稲荷社も形を変えながらほぼ同じ時を過ごしています。これからも、ひっそりとたたずみ、慶應義塾を見守り続けてほしいと、願っています。


(管財部工務担当主任 渡辺浩史)

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