哲学の最高峰、井筒俊彦のベールを剥ぐ――
没後三十年を迎える今、著者は二十年に及ぶ研究と独自のインタビュー調査にもとづき、 その謎に満ちた生涯と思想の全貌を描き切る、待望の井筒論。
東洋と西洋、無と光の哲学、魅力と危険性――
鎌倉とモントリオール、テヘランを主な活動拠点に、日本語だけでなく英文で数々の著作を著し、「人と会わないことで有名だった」という哲学者の生涯は謎に包まれ、常に両義性を孕んでいたその思想の全貌もまだ解明されていない。
著者は、思想的原点たる『神秘哲学』『言語と呪術』から遺作に至るまで全著作を網羅し、さらには関係者による証言をもとに「井筒俊彦」を生み出した、家族や大川周明、西脇順三郎、折口信夫ら「師」との関係、そして、戦時下におけるアジア主義やイラン革命との関わり合いに迫りつつ、東洋と西洋、自己と他者が深層において結び合わされる「東洋哲学」を築き上げた、哲学的営為の全貌と可能性を追究する。
『読書アンケート 2023――識者が選んだ、この一年の本』(みすず書房、2024)p.79に掲載されました。選者は、澤田直氏(精神分析)です。
『図書新聞』 2023年12月23日(第3620号)(5面)「23年下半期読書アンケート」にて、巽孝之氏(アメリカ文学)の印象に残った3点に選んでいただきました。
『週刊読書人』 2023年12月15日号(第3519号)7面に書評が掲載されました。評者は、鈴木規夫氏(愛知大学教授・政治哲学)です。
はじめに
第一章 原点――家族、西脇順三郎、折口信夫
第二章 ディオニュソス的人間の肖像
第三章 始原の意味を索めて――『言語と呪術』
第四章 戦争と革命――大東亜共栄圏とイラン革命
第五章 東方の光の哲学――プロティノス・華厳・空海
第六章 列島の批評――「産霊」の解釈学
終章 哲学の起源、起源の哲学 T 井筒俊彦と空海 U 井筒俊彦とジャック・デリダ
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安藤礼二(あんどう・れいじ) 1967年東京生まれ。文芸評論家、多摩美術大学図書館情報センター長、美術学部教授。出版社勤務を経て、2002年「神々の闘争――折口信夫論」で群像新人文学賞評論部門優秀作、2006年『神々の闘争 折口信夫論』で芸術選奨新人賞を受賞。2009年『光の曼陀羅 日本文学論』で大江健三郎賞と伊藤整文学賞を受賞。2015年『折口信夫』でサントリー学芸賞と角川財団学芸賞を受賞。その他の著書に、『大拙』『熊楠 生命と霊性』『縄文論』など、翻訳書に井筒俊彦『言語と呪術』(監訳・解説、慶應義塾大学出版会)がある。
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