何かが「ある」、それは「何」なのか――。
西洋哲学との接点を探りつつ、〈存在〉と〈本質〉をめぐるイスラーム形而上学の真髄を知らしめた一冊、待望の邦訳。
▼『井筒俊彦英文著作翻訳コレクション』第三弾。
何かが「ある」、しかし、それは「何なのか」。存在と本質をめぐる哲学上最大の問いに挑み、イスラームの〈存在一性論〉哲学と、ギリシャ・スコラ哲学、ハイデガーやサルトルら現代実存主義といった西洋哲学との接点を探りつつ、イスラーム形而上学の深淵を世界に知らしめた一冊。
もとは講演として発表された四つの論文を平明、忠実に翻訳。
文献学的精密さと比較哲学的な方法論により、イスラーム形而上学を分析する世界的名著、待望の邦訳。
序
T イスラームにおける形而上学的思考の基本構造
U 東西の存在主義
V ワフダト・ウジュード(waḥdat al-wujūd)の分析 東洋哲学のメタ哲学に向けて
W サブザワーリー形而上学の根本構造 第一章 サブザワーリー形而上学の意義 第二章 存在の観念と存在の実在性 第三章 存在の概念 第四章 エッセンティアとエクシステンティアの区別 第五章 存在は何性に先立つ 第六章 存在は偶有か 第七章 存在の実在構造 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 井筒 俊彦(いづつ としひこ) 1914年、東京都生まれ。1949年、慶應義塾大学文学部で講義「言語学概論」を開始、他にもギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学などの授業を担当した。『アラビア思想史』『神秘哲学』や『コーラン』の翻訳、英文処女著作Language and Magic などを発表。 1959年から海外に拠点を移しマギル大学やイラン王立哲学アカデミーで研究に従事、エラノス会議などで精力的に講演活動も行った。この時期は英文で研究書の執筆に専念し、God and Man in the Koran, The Concept of Belief in Islamic Theology, Sufism and Taoism などを刊行。 1979年、日本に帰国してからは、日本語による著作や論文の執筆に勤しみ、『イスラーム文化』『意識と本質』などの代表作を発表した。93年、死去。『井筒俊彦全集』(全12巻、別巻1、2013年−2016年)。
【監訳者】 鎌田 繁(かまだ しげる) 東京大学名誉教授、日本オリエント学会前会長。イスラーム神秘思想・シーア派研究。
【訳者】 仁子 寿晴(にご としはる) 同志社大学非常勤講師。イスラーム哲学・中国イスラーム思想。
|