ギリシアからイスラーム、中国、インド、そして日本――。 「東洋」の諸思想を包含する、メタ哲学体系の構築は可能か。 第一線の研究者・批評家が、井筒思想の現代を析出する。
▼国内外の気鋭の研究者13名らによる、過去3年にわたる井筒思想研究の成果として結実した論文集。
▼イスラーム・ユダヤ教・仏教・中国思想・キリスト教の宗教研究者ほか、宗教哲学者、批評家といった多様な執筆陣が集結。
▼『意識と本質』にて井筒俊彦が提唱した思想事業「東洋哲学の共時的構造化」の現代的可能性を、批判的に問い直す。
『宗教哲学研究』 第37号、2020年3月31日、昭和堂刊(p.114〜p.117)に書評が掲載されました。評者は井上克人氏(関西大学教授)です。
『宗教研究』 93巻2輯(2019年)(p.244〜p.251)に、書評が掲載されました。評者は鶴岡賀雄氏(東京大学名誉教授・宗教学)です。
中外日報 2018年9月28日 「中外図書室」(8面)に書評が掲載されました。
はじめに
第T部 セム系宗教思想と「東洋哲学」――イスラーム、ユダヤ教、キリスト教 第一章 「東洋哲学」とイスラーム研究 鎌田 繁 第二章 井筒俊彦とカトリックの霊性 若松英輔 第三章 近代ユダヤ教正統主義におけるコスモスとアンチコスモス 市川 裕 第四章 「神秘哲学」から「東洋哲学」へ 島田勝巳 第五章 イスマーイール・シーア派思想と井筒俊彦 野元 晋
第U部 形而上学と東洋思想 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編者】 澤井 義次(さわい よしつぐ) 1951年生まれ。ハーバード大学大学院博士課程(宗教学)修了(Ph.D.)。博士(文学)(東北大学)。天理大学人間学部教授。専門は宗教学・インド学・天理教学。『シャンカラ派の思想と信仰』(慶應義塾大学出版会、2016年)、『宗教學的省思――澤井義次的觀點』(増補版、台灣宗教與社會協會、2017年)など。
鎌田 繁(かまだ しげる) 1951年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科(宗教学宗教史学)博士課程単位取得退学。東京大学名誉教授。専門はイスラーム思想、シーア派研究。『イスラームの深層』(NHKブックス、2015年)、An Anthology of Philosophy in Persia, vol.5(共著 I. B. Tauris, 2015)など。
【執筆者】(掲載順) 若松 英輔(わかまつ えいすけ) 1968年生まれ。慶應義塾大学文学部仏文科卒。批評家。近代日本精神史を研究。『井筒俊彦 叡知の哲学』(慶應義塾大学出版会、2011年)、『叡知の詩学 小林秀雄と井筒俊彦』(慶應義塾大学出版会、2015年)など。
市川 裕(いちかわ ひろし) 1953年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得満期退学。東京大学大学院人文社会系研究科・文学部教授。専門は宗教史学・ユダヤ教。『ユダヤ教の精神構造』(東京大学出版会、2004年)、『ユダヤ教の歴史』(山川出版社、2009年)など。
島田 勝巳(しまだ かつみ) 1965年 生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。天理大学人間学部教授。専門は中世キリスト教思想。"The Icon and the Gaze in Nicholas of Cusa's De visione Dei,” in S. S. Morishita(Ed.), Materiality in Religion and Culture, LIT, 2017. 「クザーヌスの『知ある無知』における二つの「否定神学」」『中世思想研究』、第60号、2018年(近刊)など。
野元 晋(のもと しん) 1961年生まれ。マギル大学(カナダ)大学院博士課程修了(Ph.D.)。専門はイスラーム思想史。慶應義塾大学言語文化研究所教授。“Early Ismāʿīlī Thought on Prophecy According to the Kitāb al-Iṣlāḥ by Abū Ḥātim al-Rāzī (d. ca. 322/934-5)”(Ph. D. 論文, McGill University, Montréal, 1999)、『断絶と新生――中近世ヨーロッパとイスラームの信仰・思想・統治』(共著、慶應義塾大学言語文化研究所、2016年)など。
氣多 雅子(けた まさこ) 1953年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。京都大学名誉教授。専門は宗教哲学。『ニヒリズムの思索』(創文社、1999年)、『西田幾多郎『善の研究』』(晃洋書房、2011年)など。
安藤 礼二(あんどう れいじ) 1967年生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。多摩美術大学教授、東京大学客員教授。専門は文芸批評。『折口信夫』(講談社、2014年)、『光の曼陀羅 日本文学論』(講談社文芸文庫、2016年)など。
金子 奈央(かねこ なお) 1969年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。博士(文学)。公益財団法人中村元東方研究所・専任研究員。専門は宗教学。「宗教共同体における死と私有財産――禅清規における唱衣法の記述から」(『宗教研究』91(2) 、2017年)、「日本における唱衣法の継承と変容の一端――『喪記集』における記述を中心に」(『日本仏教綜合研究』第15号、2017年)など。
下田 正弘(しもだ まさひろ) 1957年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は仏教思想史。『涅槃経の研究――大乗経典の研究方法試論』(春秋社、1997年)、『シリーズ大乗仏教』全10巻(2011年―2014年、春秋社)など。
池澤 優(いけざわ まさる) 1958年生まれ。ブリティッシュ・コロンビア大学大学院アジア学科博士課程博士取得(Ph.D.)。東京大学大学院人文社会系研究科教授。専門は中国宗教史・死生学・生命倫理。『「孝」思想の宗教学的研究――古代中国における祖先崇拝の思想的発展』(東京大学出版会、2002年)、『非業の死の記憶――大量の死者をめぐる表象のポリティックス』(共編著、秋山書店、2009年)など。
ロペス・パソス フアン・ホセ 1985年生まれ。サンティアゴ・デ・コンポステラ大学(スペイン)大学院哲学研究科博士課程哲学専攻修了(Ph.D.)。天理大学国際学部講師。専門は現代哲学。『西谷啓治と井筒俊彦における本質と空について』(スペイン語、サンティアゴ・デ・コンポステラ大学出版局、2013年)、「内戦期におけるスペイン哲学界の諸相」(『スペイン内戦と現在』、ぱる出版、2018年)など。
小野 純一(おの じゅんいち) 1975年生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学。専修大学非常勤講師。専門はイスラーム思想・哲学。「イブン=アラビーにおける非概念的認識と存在化の香り」『専修人文論集』100号 (2017)、「無限と超越――無を無化する唯一性の直観について」『専修人文論集』101号 (2017)など。
長岡 徹郎(ながおか てつろう) 1987年生まれ。京都大学大学院文学研究科博士課程単位取得退学。京都大学非常勤講師。専門は日本哲学・宗教哲学。「西谷啓治における宗教哲学の展開――宗教と哲学とを問い直す視座の追求」(『文明と哲学』第8号、2018年)、「西谷啓治における悪の問題の深化について」(『宗教学研究室紀要』第12号、2015年)など。
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