イスラームのアダム
人間をめぐるイスラーム神秘主義の源流
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▼最初に創造された人、アダムをめぐるイスラームの〈人間探究〉の系譜を辿る。
ユダヤ・キリスト教にも共通し、イスラームでは神に創造された「最初の人間」であるだけでなく、「最初の預言者」として重要な存在である「アダム」。イスラーム神秘主義者、スーフィーたちは、アダムを人間存在の原型・理想として把捉し、「人間とは何か?」という実存的な問いを解明しようとした。これまで顧みられなかったイスラームの「アダム」に「人間学」の視点から迫る、画期的な研究。

『季刊アラブ』 2021年No.174(p.35)に書評が掲載されました。評者は小林武史氏(国会議員秘書)です。

序 宗教研究とイスラーム神秘主義 一 宗教学はいかにイスラームを理解してきたか 二 宗教学はイスラームをいかに理解すべきか 三 スーフィズムからイスラーム神秘主義へ──人間性の探求 四 イスラーム神秘主義における人間探求と「体験主義」 五 アダムからみた人間
第T部 クルアーンの内的な意味を求めて──アダム神話とその解釈学的想像力
第一章 解釈学的想像力の場としてのアダム 一 アダム神話のコンテクスト 二 クルアーンにおけるアダム神話 三 ハディースにおけるイ ……
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澤井 真(さわい まこと) 天理大学おやさと研究所講師。1984年生まれ。専門は宗教学・イスラーム思想研究・天理教学。 天理大学人間学部宗教学科を卒業後、東北大学文学研究科博士前期課程へ進学。カイロ・アメリカン大学大学院修士課程修了後、東北大学大学院博士後期課程修了。博士(文学)。日本学術振興会特別研究員PD、イェール大学交換研究員、ハーバード大学客員研究員、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科特任研究員を経て、現職。主な論文に、“Izutsu’s Hermeneutical Perspectives of the Qur’anic Interpretation” (Anis Malik Thoha ed., Japanese Contribution of Islamic Studies: The Legacy of Toshihiko Izutsu Interpreted, Kuala Lumpur: IIUM Press, 2010), “Ibn ʿArabī on the Perfect Man (al-insān al-kāmil ) as Spiritual Authority: Caliph, Imam, and Saint”(Yasushi Tonaga ed., The Bridge of Cultures: Potentiality of Sufism, Kyoto: Kenan Rifai Center for Sufi Studies, Kyoto University, 2017)、「『をやのはたらき』とその意味――『おふでさき』の解釈学」(『天理大学おやさと研究所年報』26号、2020年)。
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