▼国家統合のかたちを探る。
生存・生活のために築かれた多層的な「公共空間」は、近現代中国の国民国家建設の過程でいかなる役割を果たしてきたか。
グローバル化時代にあってなお重要性を増しつつある国家のありようを、生活者としての人びとのつながりと、国家権力との相互作用として描き出す。

中国研究月報 2018年4月号(p.45)に書評が掲載されました。評者は吉見崇氏(東京大学学術研究員)です。

序論 中国の「公共空間」 (小嶋華津子・島田美和) T 台頭する中国と国の強さ U 国家、「公共性」、「社会的連帯」 V 中国研究と「公共空間」 W 本書の目的と視角 X 本書の構成
第T部 包摂と排除――都市、コミュニティ、福祉
第1章 国家権力と流動人口 ――清末民初の乞食管理問題にみる国家権力、管理、「公共空間(圏)」 (衛藤安奈) はじめに T 清末の伝統的乞食管理の試み U 清末民初の近代的乞食管理 おわりに
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著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
(※掲載順) 【編著者】 小嶋華津子(こじま かずこ) 慶應義塾大学法学部准教授。1970年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。博士(法学)。専門分野は中国政治。主要業績に『現代中国の市民社会・利益団体――比較の中の中国』(辻中豊・李景鵬と共編、木鐸社、2014年)、『現代中国政治外交の原点』(国分良成と共編、慶應義塾大学出版会、2013年)ほか。
島田美和(しまだ みわ) 慶應義塾大学法学部専任講師。1976年生まれ。大阪大学大学院言語文化研究科博士課程修了。博士(言語文化学)。専門分野は中国近現代史。主要業績に「戦時国民党政権の辺疆開発政策」久保亨・波多野澄雄・西村成雄編『戦時期中国の経済発展と社会変容』(慶應義塾大学出版会、2014年)、「顧頡剛の『疆域』概念」西村成雄・田中仁編『中華民国の制度変容と東アジア地域秩序』(汲古書院、2008年)ほか。
【執筆者】 衛藤安奈(えとう あんな) 慶應義塾大学法学部専任講師。1981年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。博士(法学)。専門分野は中国近現代史。主要業績に『熱狂と動員――1920年代中国の労働運動』(慶應義塾大学出版会、2015年)、「20世紀初頭の中国都市における『民衆運動』の再検討――武漢を事例に」高橋伸夫編著『救国、動員、秩序――変革期中国の政治と社会』(慶應義塾大学出版会、2010年)ほか。
鄭 浩瀾(てい こうらん) 慶應義塾大学総合政策学部准教授。1977年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程修了。博士(政策・メディア)。専門分野は中国近現代史、中国地域研究。主要業績に『中国農村社会と革命――井岡山村落の歴史的変遷』(慶應義塾大学出版会、2009年)、「日中戦争期の中国における児童保育の展開――重慶国民政府の統治地域を中心に」『アジア研究』第61巻第3号(2015年)ほか。
山本 真(やまもと しん) 筑波大学人文社会系准教授。1969年生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士課程中退。博士(社会学)。専門分野は中国近現代史・社会史。主要業績に『近現代中国における社会と国家――福建省での革命、行政の制度化、戦時動員』(創土社、2016年)、「日中戦争前期、サラワク華僑の救国献金運動と祖国の表象」関根謙編『近代中国その表象と現実――女姓・戦争・民俗文化』(平凡社、2016年)ほか。
朱 安新(しゅ あんしん) 南京大学社会学部専任講師。1976年生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専門分野は都市コミュニティ研究、家族社会学研究。主要業績に「中国と現代化」西原和久・保坂稔編著『グローバル化時代の新しい社会学』(新泉社、2013年)、「雲南麗江古城の消えつつあるナシ族社会」秋道智彌編著『水と世界遺産』(小学館、2007年)ほか。
中岡まり(なかおか まり) 常磐大学総合政策学部准教授。1969年生まれ。慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。専門分野は現代中国政治。主要業績に「中国地方人民代表大会選挙における「民主化」と限界――自薦候補と共産党のコントロール」『アジア研究』第57巻第2号(2011年)、「権威主義的「議会」の限界」深町英夫編『中国議会100年史――誰が誰を代表してきたのか』(東京大学出版会、2015年)ほか。
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