▼現代中国の対外行動はどのように形作られているのか? 国際的要因、および統治構造による国内政治的要因からその源泉を明らかにする試み。
▼中国は、自らが歩む外交路線を「特色ある大国外交」と定義し、大国という意識を対外行動のなかで明確に表すようになってきた。日本は、そうした中国の新しい変化に極めて間近な距離で向き合っている。
▼本書は、大きく変化してきた中国の対外行動についての現象的な分析にとどまるものではない。中国の対外行動について、それを形作っている国際政治的要因と国内政治的要因という構造的レベルに腑分けし、その源泉を見出そうとするものである。
中国研究月報 2018年4月号(p.45)に書評が掲載されました。評者は矢久保典良氏(千葉商科大学非常勤講師)です。
序章 大国意識を示しはじめた中国の対外行動(加茂具樹)
第1部 国際秩序のなかの中国外交―― 国際政治的要因
第1章 中国の対外行動「強硬化」の分析―― 四つの仮説(松田康博) はじめに T 対外行動の「強硬化」―― 事実はどうであるか U 中国の行動を理解するための理論的仮説 V 四つの仮説から読み解く日本の対中政策 おわりに
第2章 中国の金融外交(青山瑠妙) はじめに T 国家戦略としての金融外交 U 金融外交をめぐる国内の ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
(※掲載順) 【編著者】 加茂具樹(かも ともき) 慶應義塾大学総合政策学部客員教授。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了、博士(政策・メディア)。主要業績:『現代中国政治と人民代表大会――人代の機能改革と「領導・被領導」関係の変化』(慶應義塾大学出版会、2006年)、『党国体制の現在――変容する社会と中国共産党の適応』(共編著、慶應義塾大学出版会、2012年)、ほか。
【執筆者】 松田康博(まつだ やすひろ) 東京大学東洋文化研究所教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。主要業績:『台湾における一党独裁体制の成立』(慶應義塾大学出版会、2006年)、『【新版】5分野から読み解く現代中国――歴史・政治・経済・社会・外交』(共編著、晃洋書房、2016年)、ほか。
青山瑠妙(あおやま るみ) 早稲田大学教育・総合科学学術院教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。主要業績:『現代中国の外交』(慶應義塾大学出版会、2007年)、『中国のアジア外交』(東京大学出版会、2013年)、ほか。
毛利亜樹(もうり あき) 筑波大学人文社会系助教。同志社大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得退学、博士(政治学)。主要業績:『現代中国政治研究ハンドブック』(共著、慶應義塾大学出版会、2015年)、「習近平中国で語られる近代戦争――日清戦争、二つの世界大戦、抗日戦争と日本をめぐる言説」(『アジア研究』第60巻第4号、2014年)、ほか。
土屋貴裕(つちや たかひろ) 慶應義塾大学SFC研究所上席所員。防衛大学校総合安全保障研究科後期課程卒業、博士(安全保障学)。主要業績:『現代中国の軍事制度――国防費・軍事費をめぐる党・政・軍関係』(勁草書房、2015年)、『「新しい戦争」とは何か――方法と戦略』(共著、ミネルヴァ書房、2016年)、ほか。
山影 統(やまかげ すばる) 慶應義塾大学総合政策学部非常勤講師。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程単位取得退学、修士(政策・メディア)。主要業績:『戦後日中関係と廖承志――中国の知日派と対日政策』(共著、慶應義塾大学出版会、2013年)、「冷戦後の中国・EU関係における対立構造――『政策文書』にみる関係発展プロセス認識の相違」(『問題と研究』(第40巻4号、2011年)、ほか。
山口信治(やまぐち しんじ) 防衛省防衛研究所地域研究部主任研究官。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学。主要業績:「中国共産党の政治指導能力に関する研究――国内的不安定が対外関係に及ぼす影響についての予備的考察」(『防衛研究所紀要』防衛研究所、第15巻第1号、2012年)、“Strategies of China’s Maritime Actors in the South China Sea: A Coordinated Plan under the Leadership of Xi Jinping?”(China Perspective, 2016 No.3, October 2016)、ほか。
マチケナイテ・ヴィダ(MACIKENAITE, Vida) 国際大学大学院国際関係学研究科講師。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学、博士(政策・メディア)。主要業績:“Development of the East China Sea Gas Field Dispute-Explaining Domestic Opinion Constraints on Chinese Foreign Policy,” KEIO SFC JOURNAL 12, No.1 (2012):71−84、ほか。
王 雪萍(おう せつへい) 東洋大学社会学部准教授。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程修了、博士(政策・メディア)。主要業績:『改革開放後中国留学政策研究――1980−1984年赴日本国家公派留学生政策始末』(中国・世界知識出版社、2009年)、『戦後日中関係と廖承志――中国の知日派と対日政策』(編著、慶應義塾大学出版会、2013年)、ほか。
李 彦銘(り いぇんみん) 人間文化研究機構総合人間文化研究推進センター・慶應義塾大学東アジア研究所現代中国研究センター研究員。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。主要業績:『日中関係と日本経済界――国交正常化から「政冷経熱」まで』(勁草書房、2016年)、「1970年代初頭における日本経済界の中国傾斜とその背景」(『国際政治』第163号、2011年)、ほか。
兪 敏浩(ゆ びんこう) 名古屋商科大学コミュニケーション学部准教授。慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程単位取得退学、博士(法学)。主要著作:『国際社会における日中関係――1978〜2001年の中国外交と日本』(勁草書房、2015年)。『東アジアのなかの日本と中国――規範、外交、地域秩序』(共編著、晃洋書房、2016年)、ほか。
|