慶應義塾機関誌

 三田評論
  明治31年3月創刊(毎月1回1日発行)
   発行:慶應義塾 編集人:慶應義塾広報室長 編集・制作:慶應義塾大学出版会

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第9──三田評論 2016年10月号

   
 

日吉陸上競技場

 
慶應義塾史跡めぐり
 
   
   
 

日吉陸上競技場は、日吉キャンパスが開設された一九三四年につくられた。当時、日吉キャンパスに理想的な体育環境を整備しようと、様々な体育施設が計画されたが、その最初の施設にあたる。当時の陸上競技場は、すでに現状に近い形で、四〇〇mの楕円形トラックとその外周の芝生斜面および東西の雛壇式スタンド(三千人収容)で構成されていた。その後、改修や補修を適宜行いながら維持されてきたが、慶應義塾創立一五〇年を機に、記念事業の一環として大規模な改修工事が行われ、生まれ変わった競技場は二〇〇八年九月に竣工した。


この新競技場は、陸上競技場としての環境とインフィールドを利用した球技場としての環境を共に向上させるため、@トラックの全面改修、Aインフィールドの人工芝化、B付属施設棟の建設と排水設備などのインフラ整備の三つを主な改修要素とした。また、並行して建設が進められていた協生館の一部を陸上競技場の観覧席やステージとしても使用できるように整備し、イベントスペースとしての環境も整えられ、十一月八日に創立一五〇年記念式典が挙行された。


四〇〇mトラックは、三心円カーブ(カーブ部分が中心の異なる三つの円弧を接続して構成されている形状)七レーンのクレイ系舗装トラックから、日本の公認陸上競技場で標準的な単心円カーブ(カーブ部分が単一の円弧)七レーンの全天候フルウレタン舗装のトラックに生まれ変わった。また、投てき場として使用されるインフィールドは一般的に天然芝舗装が用いられるが、日吉陸上競技場の場合は競走部以外の部活動や体育の授業などで頻繁に利用されるため、維持が難しい天然芝舗装ではなく、人工芝化が必須であった。


しかし、陸上競技場改修計画の検討当時、投てき競技に対応した人工芝は存在せず、人工芝で投てき競技を行うと、やりが刺さらなかったり、ハンマーの落下で人工芝が破損したりするなどの問題があった。そこで改修にあたっては、施工会社と人工芝メーカーが投てき競技と球技などの両立が可能な人工芝を開発し、世界で初めての投てき競技に対応する人工芝を使った陸上競技場が誕生した。


改修前の日吉陸上競技場は、公認競技場の旧規程(〜二〇〇六年)で第三種競技場として公認されていたが、改修後は新規程(二〇〇七年〜)上、第四種競技場に該当することとなり、二〇〇八年九月には日本陸上競技連盟から公認を受けた。公認後間もなく開催された早稲田大学との対抗戦では、男子四×二〇〇mリレーで日本記録が誕生した。インフィールドではやり投が行われ、選手の投げたやりが、人工芝に見事に突き刺さると、観客から歓声が湧き上がった。

(管財部部長 繁森 隆)

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