▼魂を乞う、〈恋〉のひと――
学問と創作を稀有なかたちで一体化させた、折口信夫。 かれの思考とことばには、燃えさかる恋情が隠されていた。 大阪の少年時代から、若き教師時代、そして晩年まで、 歓びと悲しみに彩られた人生をたどる、渾身の評伝/物語。
「折口の主題には恋が大きくそびえ立つ。そのことばの隅々にも恋情がたゆたう。 思考にふくよかな実感と肉感がかよう。人生の大半を埋め尽くす、 烈しく純な恋慕の経験の影だ。 ならばぜひとも書かなければなるまい、折口信夫のひそかに望んだ折口信夫論を。 恋愛小説の形をとり、折口信夫の学問と創作の鍵をあきらかにする論を。」(「あとがき」より)
日本経済新聞 2020年4月5日「落日と浄土『死者の書』の謎を探る(中)』・「日が沈む国へ逝く 似通う信心」で、本書が紹介されました。
『芸能』 25号(2019.3)芸能学会(p.242〜p.243)に書評が掲載されました。評者は古川晴彦氏(慶應義塾高等学校教諭)です。
『季刊びーぐる』 42号(p,113〜p.114)に書評が掲載されました。評者は宗近真一郎氏(批評家)です。
序章 恋の宿命 第一章 痣(あざ)ある子 第二章 名と家と、生殖の苦と 第三章 内なる女性の魂、えい叔母 第四章 あかしやの花の恋 第五章 歴史家への志 第六章 炎の帝都へ 第七章 霊と肉 第八章 劇作への夢 第九章 先 生 第十章 帰 郷 第十一章 大阪ダイナマイト 第十二章 わが魂の舟 第十三章 新しい波 第十四章 愛の家 第十五章 最高に純粋だった頃 第十六章 流動あるのみ 第十七章 清志恋 ……
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持田 叙子(もちだ のぶこ) 1959年東京生まれ。近代文学研究者。国学院大学兼任講師、毎日新聞書評担当者、三田文学理事。 慶應義塾大学大学院修士課程修了、国学院大学大学院博士課程単位取得修了。1995〜2000年『折口信夫全集』(中央公論社)の編集・校訂・解題執筆をおこなう。『荷風へようこそ』(慶應義塾大学出版会、2009年)で第31回サントリー学芸賞(社会・風俗部門)受賞。他の著作に、『折口信夫 独身漂流』(人文書院、1999年)、『永井荷風の生活革命』(岩波書店、2009年)、『泉鏡花 百合と宝珠の文学史』(慶應義塾大学出版会、2012年)、『歌の子詩の子、折口信夫』(幻戯書房、2016年)など。
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