〈私〉が感じる生と感情のリアリティ。 自己と他者をめぐる 社会学の新境地!
▼関係性の違和感や社会的居場所のなさから生まれる様々な「感情」を、どのようにして客体化していけばよいのか。 ▼現代の「生」の根源を探求する、生と感情の社会学。
| | | | | | 慶應義塾大学三田哲学会叢書 |
| | | | | | 三田哲学会は創立100年を機に、専門的な研究成果を「生きられる知」として伝え、 公共の中に行き渡らせる媒体として本叢書の発刊を企図した。 シリーズ名は、ars incognita アルス インコグニタ。 ラテン語で「未知の技法」を意味する。 単なる知識の獲得ではなく、新たな「生きる技法としての知」を作り出すという精神を表現している。
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みすず no.645(2016年1-2月号)の「2015年読書アンケート」にて、熊谷晋一郎氏(小児科学・当事者研究)からコメントをいただきました。
読売新聞 2015年1月11日 本よみうり堂 ビタミンBook(11面)でご紹介いただきました。紹介者は熊谷晋一郎(小児科医)氏です。
1 生と感情の社会学――まえがきにかえて 岡原正幸
2 生きられた経験へ――社会学を「生きる」ために 小倉康嗣
3 「時間が解決してくれる」ということ ――生の脈拍(é-motion)の傍らで 澤田唯人
4 〈私〉を揺さぶる他者を前に ――調査者(聞き手)が語り手になるとき 宮下阿子
5 喘息児としての私――感情を生きもどすオートエスノグラフィー 岡原正幸
6 ワーク・イン・プログレスとしての社会学作品―― ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編著者】 岡原 正幸(おかはら まさゆき) 慶應義塾大学文学部教授。1980年、慶應義塾大学経済学部卒業。1980〜81年、ミュンヘン大学演劇学専攻留学。1987年、慶應義塾大学社会学研究科博士課程修了。2014〜15年、ハンブルク大学パフォーマンススタディーズセンター。『感情資本主義に生まれて――感情と身体の新たな地平を模索する』 (慶應義塾大学出版会、2013年)、『生の技法――家と施設を出て暮らす障害者の社会学』 (共著、第3版、生活書院、2013年)、などの著書がある。
【著者】 小倉 康嗣(おぐら やすつぐ) 立教大学社会学部准教授。NPOサーベイ理事。1992年、慶應義塾大学法学部卒業後、厚生省厚生事務官を経て、1999年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。『高齢化社会と日本人の生き方――岐路に立つ現代中年のライフストーリー』 (慶應義塾大学出版会、2006年)、『被爆者調査を読む――ヒロシマ・ナガサキの継承』 (共著、慶應義塾大学出版会、2013年)などの著書がある。
澤田 唯人(さわだ ただと) 慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程。日本学術振興会特別研究員。2009年、法政大学キャリアデザイン学部卒業。論文に「感情的な身体――感情的行為論の礎石」 (『現代社会学理論研究』 7号)など。現在は、「境界性パーソナリティ障害」と呼ばれる生をめぐって、感情管理と感情的行為のあいだを検討している。誰もが、そのあいだを揺れ動きながらでしか社会を生き抜くことはできない。そうした腫れものとしての私たちの生を描き出したい。
宮下 阿子(みやした あこ) 法政大学大学院社会学研究科博士課程。2009年、法政大学社会学部卒業。自らの摂食障害経験をきっかけに、障害や病いとともに生きる人々の「生」に関心を持ちはじめる。摂食障害と呼ばれる出来事とは何か。当事者はそこでどのような経験をしているのか。研究者と当事者のあいだを彷徨いながら、何かしらの〈こたえ〉を見つけにインタビュー調査に赴いている。
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