進化論的アプローチで「意識の難問」に挑む 科学哲学、生物学、心の哲学の学際領域への招待
私たちの主観的経験に結びつけられる意識。この意識は脳・神経系という物理的な存在から発生するにもかかわらず、科学的な解明が難しいとされる。本書は「意識の難問」に対して進化論的アプローチから挑み、意識科学の方法論の再構築を目指す。
はじめに 意識のあらまし/意識の問題は解決困難か/意識の進化研究
第1章 意識 形態失認/盲視/意識的な視覚と無意識的な視覚/鳥類の視覚/「皮質中心主義」への批判/「意識を定義する特性」/生物学的自然主義と神経生物学的自然主義/意識の段階的な創発/相同のスコープ依存性/脊椎動物における視覚意識の進化/進化と多重実現/階層離断/意識は生存に貢献するか/半側無視/意識と報告能力を結びつける見解
第2章 行為者性 意識と行為者性を結びつける/ ……
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田中泉吏 (たなか せんじ) 慶應義塾大学文学部准教授。専門は科学哲学。著作に『生物学の哲学入門』(共著、勁草書房、2016年)など。
鈴木大地 (すずき だいち) 筑波大学生命環境系助教、北海道大学人間知×脳×AI研究教育センター(CHAIN)客員研究員。専門は進化形態学、神経行動学、動物意識研究。訳書にファインバーグ&マラット『意識の進化的起源』(勁草書房、2017年)、ギンズバーグ&ヤブロンカ『動物意識の誕生』(勁草書房、2021年)など。
太田紘史 (おおた こうじ) 筑波大学人文社会系准教授。専門は心の哲学、倫理学。編著書に『シリーズ新・心の哲学』(全3巻、勁草書房、2014年)。
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