〈声なき声〉のジャーナリズム
マイノリティの意見をいかに掬い上げるか
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SNS時代のジャーナリズム論 誰もが情報を発信し、フェイクニュースが氾濫するこの時代に、 ジャーナリストは「真正性」をいかに担保し、 マイノリティの声を掬い上げ、活性化させるべきなのか。
本書は、現代のデジタル化するメディア環境において、言説がより個別に、より自然に、より親密になり、「真正性」(本物らしさ)を追い求めるなかで、ジャーナリズムをどのように再定義すべきかを論ずるものである。 『真相深入り!虎ノ門ニュース』や『ハートネットTV』、『クィア・アイ』といったTV番組の言説構造の分析から、情報の送り手と受け手の関係性を編み直し、ジャーナリズムが〈声なき声〉をいかに掬い上げ、活性化すべきかの方途を探る。 そして、ジャーナリズムの担い手が送り手と受け手の垣根を超え、等身大の自分自身として語り、自分たちの居場所としてのメディアについて考える。 そうした社会のかたちのイメージを描き出し、もっと幅広い文化的実践をジャーナリズムとして再評価していく。
『朝日新聞』 2024年8月13日「メディア空間考 「記者の「真正性」とは」(朝刊7面)にて、紹介されました。 本文はこちら(有料記事)
『中央公論』 2024年9月号「新刊この一冊!」(p.194)に書評が掲載されました。評者は、荻上チキ氏(評論家)です。
『週刊読書人』 2024年7月21日号(6面) に書評が掲載されました。評者は金井啓子氏(近畿大学総合社会学部教授・ジャーナリズム論)です。
序論 「声なき声」をどのように活性化すべきか 1 本書の論点――不可視化された「声なき声」をどのように活性化するのか 2 本書のアプローチ――生存戦略としての「真正性」 3 本書の構成
第1章 「声なき声」の活性化、「真正性」の政治 1 ジャーナリズムの役割を問い直す 2 民主主義の課題としての「声なき声」 3 「真正性」という価値の浸潤 4 「真正性」を媒介とする「声なき声」の連帯へ
第2章 「声なき声」と娯楽化する政治― ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
田中瑛(たなか あきら) 実践女子大学人間社会学部専任講師 1993年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業(同メディア・コミュニケーション研究所修了)後、 東京大学大学院学際情報学府社会情報学コース博士課程修了。博士(社会情報学)。 日本学術振興会特別研究員(DC1)、九州大学大学院芸術工学研究院助教を経て、2024年より現職。 主要論文に、「真正性の政治とジャーナリズム――ポピュラーな正当化の可能性と矛盾の考察」『メディア研究』102号、183-199頁。「公共放送における「声なき声」の包摂の葛藤――NHKの福祉番組『ハートネットTV』のソーシャルメディア活用を事例として」『マス・コミュニケーション研究』95号、125-142頁。日本計画行政学会・社会情報学会若手研究交流会優秀賞受賞、など受賞多数。共著書に、小熊英二・樋口直人編『日本は「右傾化」したのか』(慶應義塾大学出版会、2020年)、伊藤守編『東京オリンピックはどう観られたか――マスメディアの報道とソーシャルメディアの声』(ミネルヴァ書房、2024年)など。
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