▼誰が、何が、どう、変わったのか?
ヘイトスピーチ、排外主義運動の顕在化、 日本会議の台頭、改憲潮流、 ネットに溢れかえる右派的言説――。 はたして本当に、日本は「右傾化」したのか。 個々の政権の消長を超えた次元で、 日本社会全体の構造変化のなかで捉える。
日本は「右傾化」しているのか。 概していえば、社会全体の有権者レベルの調査では、顕著な「右傾化」はみられない。しかし、政党や宗教団体など特定の対象のレベル、あるいは報道のレベルでは「右傾化」が指摘されることが多い。政治家などの右派的言動も目立つ。 本書は、このような一見すると矛盾した現状について、学際的な知見を集め、@意識、Aメディア・組織・思想、B政治という三つの視角から、「右傾化」の実態を徹底検証する。
『キリスト新聞』(KiriShin) 2021年4月14日に書評が掲載されました。 本文はこちら
図書新聞 第3488号(2021年3月20日)に掲載されました(3面)。評者は辻大介氏(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)です。
『公明新聞』 2021年1月18日(4面)に書評が掲載されました。評者は谷口将紀氏(東京大学教授・現代日本政治論)です。
総 説 「右傾化」ではなく「左が欠けた分極化」 小熊英二
第I部 意 識
1 世論 世論は「右傾化」したのか 松谷満
2 歴史的変遷 「保守化」の昭和史――政治状況の責任を負わされる有権者 菅原琢
第U部 メディア・組織・思想
1 マスメディア 政治システムとの強いリンクがもたらした構造的「右傾化」 林香里・田中瑛
2 ネットメディア ネ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編者】 小熊英二(おぐま えいじ) 1962年、東京都生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授。 専攻は歴史社会学。著書に『単一民族神話の起源』、『〈日本人〉の境界』、 『〈民主〉と〈愛国〉』、『1968』(いずれも新曜社)、『社会を変えるには』、『日本社会のしくみ』(いずれも講談社現代新書)など。
樋口直人(ひぐち なおと) 1969年、神奈川県生まれ。早稲田大学人間科学学術院教授。 専攻は移民研究、社会運動論、政治社会学。著書に『日本型排外主義』(名古屋大学出版会)、共著に『ネット右翼とは何か』(青弓社)、編著に『3・11後の社会運動』(筑摩書房)など。
[著者]執筆順 松谷満(まつたに みつる) 1974年、福島県生まれ。中京大学現代社会学部准教授。 専攻は社会意識論、政治社会学。編著に『3・11後の社会運動』(筑摩書房)、共著に『分断社会と若者の今』(大阪大学出版会)、『日本人は右傾化したのか』(勁草書房)など。
菅原琢(すがわら たく) 1976年、東京都生まれ。政治学者。 専攻は政治過程論。著書に『世論の曲解』(光文社)、共著に『徹底検証 安倍政治』(岩波書店)、『平成史【完全版】』(河出書房新社)など。
林香里(はやし かおり) 1963年、名古屋市生まれ。東京大学大学院情報学環教授。 専攻はジャーナリズム・マスメディア研究。著書に『足をどかしてくれませんか』(編著、亜紀書房)、『メディア不信』(岩波新書)、『テレビ報道職のワーク・ライフ・アンバランス』(谷岡理香と共編著、大月書店)、『〈オンナ・コドモ〉のジャーナリズム』(岩波書店)など。
田中瑛(たなか あきら) 1993年、山形県生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程、日本学術振興会特別研究員(DC1)。専攻はメディア研究。論文に「公共放送における「声なき声」の包摂の葛藤」(『マス・コミュニケーション研究』95号、学文社)、「「声なき声」の表象のポリティクス」(加藤泰史・小島毅編『尊厳と社会』下巻、法政大学出版局)。
津田大介(つだ だいすけ) 1973年、東京都出身。大阪経済大学情報社会学部客員教授。ジャーナリストとしてメディアやコンテンツビジネスなどを専門分野として執筆活動を行う。著書に『情報戦争を生き抜く』(朝日新書)、『ウェブで政治を動かす!』(朝日新書)、『動員の革命』(中公新書ラクレ)など。
島薗進(しまぞの すすむ) 1948年、東京都生まれ。上智大学大学院実践宗教学研究科教授。 専攻は宗教学。著書に『宗教を物語でほどく』(NHK出版新書)、『いのちを"つくって"もいいですか?』(NHK出版)、『明治大帝の誕生』(春秋社)、『ともに悲嘆を生きる』(朝日選書)など。
中北浩爾(なかきた こうじ) 1968年、三重県生まれ。一橋大学大学院社会学研究科教授。 専攻は日本政治外交史、現代日本政治論。著書に『現代日本の政党デモクラシー』(岩波新書)、『自民党政治の変容』(NHKブックス)、『自民党――「一強」の実像』(中公新書)、『自公政権とは何か』(ちくま新書)など。
大和田悠太(おおわだ ゆうた) 1989年、東京都生まれ。一橋大学大学院社会学研究科博士後期課程、法政大学大原社会問題研究所兼任研究員。専攻は政治学、現代日本政治論、市民社会論。
砂原庸介(すなはら ようすけ) 1978年、大阪府生まれ。神戸大学大学院法学研究科教授。 専攻は行政学・地方自治。著書に『大阪』(中公新書)、『民主主義の条件』(東洋経済新報社)、『分裂と統合の日本政治』(千倉書房)、『新築がお好きですか?』(ミネルヴァ書房)など。
秦正樹(はた まさき) 1988年、広島県生まれ。京都府立大学公共政策学部准教授。 専攻は政治心理学、実験政治学。論文に「争点を束ねれば「イデオロギー」になる?」『年報政治学』2020-1(共著)など。
西村翼(にしむら つばさ) 1994年、広島県生まれ。神戸大学法学研究科博士後期課程。 専攻は政党政治論、議員行動論。論文に「政党の公認戦略と地元候補」『年報政治学』(近刊)など。
ブフ・アレクサンダー(Bukh Alexander) 1970年、モスクワ生まれ。ヴィクトリア大学ウェリントン校(ニュージーランド)准教授。 専攻は国際関係学。著書にThese Islands are Ours: The Social Construction of Territorial Disputes in Northeast Asia (Stanford University Press)、Japan's National Identity and Foreign Policy: Russia as Japan's ‘Other’ (Routledge).
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