〈声なき声〉のジャーナリズム
マイノリティの意見をいかに掬い上げるか

序論 「声なき声」をどのように活性化すべきか 1 本書の論点――不可視化された「声なき声」をどのように活性化するのか 2 本書のアプローチ――生存戦略としての「真正性」 3 本書の構成
第1章 「声なき声」の活性化、「真正性」の政治 1 ジャーナリズムの役割を問い直す 2 民主主義の課題としての「声なき声」 3 「真正性」という価値の浸潤 4 「真正性」を媒介とする「声なき声」の連帯へ
第2章 「声なき声」と娯楽化する政治――『虎ノ門ニュース』における「読解の肩代わり」 1 反動的な実践に潜む「声なき声」を考える 2 「ネット右翼」が社会において占める位置 3 『虎ノ門ニュース』の批判的言説分析 4 日常生活から切断される「政治」
第3章 公共サービスメディアの葛藤――『ハートネットTV』におけるメッセージ性と「真正性」の調停 1 「声なき声」の活性化の拠点としての公共サービスメディア 2 福祉番組と公共性 3 相反するメッセージ性と「真正性」 4 公共サービスメディアの葛藤――普遍と個別、規範と「真正性」の架橋に向けて
第4章 ポピュラー・ジャーナリズムとしてのリアリティTV?――『クィア・アイ』における「裏側の物語」と連帯の政治 1 テレビ的なものと真正性 2 『クィア・アイ』にみる連帯の兆し 3 「裏側の物語」を通じた対話と「声なき声」の活性化 4 テレビ的なものの透明性、ジャーナリストの有名性
第5章 ジャーナリズムの境界線を引き直す――対話の場を紡ぐための役割 1 ジャーナリストの専門職的役割の変化? 2 「送り手−受け手」の相互主体を再検討する 3 「真正性」の政治における自己演技――ジャーナリストの直面するジレンマ 4 対話の場の共創としてのジャーナリズム
第6章 「真正性」の政治を内側から攪乱する――オルタナティヴなメディア環境はどのように可能か 1 メディアに潜む権力を読み解く 2 メディアにおける新自由主義的な権力構造 3 対話のための居場所をどのように蘇らせるか 4 メディア=場所を政治的問題にしていくこと
補論 対話のためのメディア・デザインに向けた試論――メディア・ワークショップの設計と批判的考察から 1 対話のためのメディア環境をDIYする――批判と創造の往還に向けて 2 メディアを用いたワークショップの意義 3 設計の背景――どのように呼びかけ、どのような場を作るのか 4 メディア・ワークショップの実施と省察――デジタル・ネイティヴの対話感覚の考察 5 「声なき声」の活性化の実践のネットワーク化に向けて
結論 今後のメディア・ジャーナリズム研究に向けて
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