芸術の定義への、壮大な思弁的企て
▼1960年代初め、アンディ・ウォーホルの《ブリロ・ボックス》が「芸術」として提示されたとき、 このような、平凡なものと区別のつかないアート作品の出現が、新しい芸術の理論を要請した。本書は、その理論的構築のために捧げられた、20世紀美学最大の成果である。
▼ダントーは、芸術の理論に属するものを、伝統的にそれと混同されてきたものから区別しようと試みる。そして、芸術の表象を独自に解釈し、メタファー、表現、様式を体系的に説明する。 ウォーホル、リキテンスタイン、ブリューゲル、ボルヘス、カポーティ……豊富な例を引きながら、なぜ「ありふれたもの」が「芸術」に変容したのか、芸術をどのように定義できるのか、哲学的に明らかにしていく。
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月刊 みすず 2018年1・2月合併号(no.667)「2017年読書アンケート特集」にて増田聡氏(音楽学)にご紹介いただきました(p.98)。
月刊アートコレクターズ 2017年12月号(No.105)「BOOK GUIDE」(p.117)に書評が掲載されました。
美術の窓 2018年1月号「MADO LIBRARY 」で紹介されました。
![目次](/img/detailh4-contents.gif)
序文 謝辞
第一章 芸術作品と単なる現実のもの 第二章 内容と因果関係 第三章 哲学と芸術 第四章 美学と芸術作品 第五章 解釈と同定 第六章 芸術作品と単なる表象 第七章 メタファー、表現、様式
訳者解説 索引
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 アーサー・C・ダントー(Arthur C. Danto) 1924〜2013年。アメリカの哲学者・美術批評家。コロンビア大学名誉教授。 著作に、『言語と哲学の世界』(薗田勲訳、社会思想社、1980年)、『物語としての歴史――歴史の分析哲学』(河本英夫訳、国文社、1989年)、『芸術の終焉のあと――現代芸術と歴史の境界』(山田忠彰監訳、三元社、2017年)。論文に、「アートワールド」(西村清和編・監訳『分析美学基本論文集』勁草書房、2015年所収)など。
【訳者】 松尾 大(まつお ひろし) 1949年生まれ。東京藝術大学名誉教授。専門は美学・西洋古典学。 著作に、佐藤信夫・佐々木健一・松尾大『レトリック事典』(大修館書店、2006年)。訳書に、バウムガルテン『美学』(講談社学術文庫、2016年)など。
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