芸術を〈記号システム〉として解読する
▼絵画、音楽、ダンス、文学、建築……芸術へのアプローチを根本的に転換した20世紀美学の最重要著作。
▼20世紀アメリカを代表する哲学者、ネルソン・グッドマンは、美学、論理学、認識論、科学哲学の分野において多大な影響を及ぼした。グッドマンの主著である本書は、1968年の刊行以来、現代美学の記念碑的著作として読みつがれている。 ここでグッドマンは、芸術の基本的諸問題を考察することから出発し、芸術における記号の一般理論の構築へと向かう。芸術がある対象を「再現」するとはどういうことなのか。再現と表現はどうちがうのか。絵画における遠近法とは、写実性とは何か。ホンモノと完全な贋作を見ることにちがいはあるのか。楽譜とは何か。ダンスは記譜できるのか。芸術と科学の真理は異なるのか。 本書は、芸術における記号と記号システムの研究であり、われわれの知覚と行動、さらにわれわれの世界創造とその理解において、それらがどのように機能しているかを明らかにしている。この考察は、心理学、言語学、認識論、科学哲学などの領域を横断しつつ、われわれを、絵画、音楽、ダンス、文学といったあらゆる芸術形式の深い理解へと導いてくれる。
図書新聞 第3360号(2018年7月21日)「2018年上半期読書アンケート」(2面)に掲載されました。評者は古賀徹氏(哲学)です。
月刊 みすず 2018年1・2月合併号(no.667)「2017年読書アンケート特集」にて増田聡氏(音楽学)の「私の5冊」の1冊に選ばれました(p.98)。
図書新聞 2017年6月10日(3306号)5面に書評が掲載されました。評者は、西條玲奈氏(哲学)です。
序文 序論
第一章 現実の再制作 1 指示 2 模倣 3 遠近法 4 彫刻 5 フィクション 6 トシテ再現 7 創意 8 写実性 9 記述と描写
第二章 絵の響き 1 対象領域の違い 2 方向のちがい 3 例示 4 サンプルとラベル 5 事実と比喩 6 図式 7 転移 8 隠喩の諸方式 9 表現
第三章 芸術と真正性 1 完璧な贋作 2 答え 3 贋作不可能なもの 4 理由 5 課題
第四章 記譜法の理論 1 記 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 ネルソン・グッドマン(Nelson Goodman) 1906〜1998年。アメリカの哲学者。美学、論理学、認識論、科学哲学において多大な影響を及ぼした。画廊を経営するかたわら、ハーヴァード大学で博士号を取得。ハーヴァード大学哲学名誉教授。タフツ大学、ペンシルヴェニア大学、ブランダイス大学、ハーヴァード大学など、各地で教鞭をとる。ハーヴァード大学では、哲学、認知科学、芸術、教育を融合させることを目的とした研究機関「プロジェクト・ゼロ」を設立。おもな著書に、『事実・虚構・予言(Fact, Fiction, and Forecast )』(雨宮民雄訳、勁草書房、1987年)、『記号主義 ―― 哲学の新たな構想(Reconceptions in Philosophy and Other Arts and Sciences )』(エルギンとの共著、菅野盾樹訳、みすず書房、2001年)、『世界制作の方法(Ways of Worldmaking )』(菅野盾樹訳、ちくま学芸文庫、2008年)など。
【訳者】 戸澤 義夫(とざわ よしお) 群馬県立女子大学名誉教授。東京大学文学部美学芸術学科卒業。東京大学大学院人文科学研究科美学芸術学科修士課程修了。博士課程中退。著書に『講座美学3 美学の方法』(共著、東京大学出版会、1984年)、 「自然とテクノロジー」 (共著 『芸術文化のエコロジー』 勁草書房、1995年)、『アート・スタンダード検定公式テキストブック』(監修、玉川大学出版部、2011年)。
松永 伸司(まつなが しんじ) 東京藝術大学美術学部教育研究助手。2015年東京藝術大学大学院美術研究科美術専攻芸術学(美学)専門領域博士後期課程修了。博士(美術)。博士論文「ビデオゲームにおける意味作用」。訳書にイェスパー・ユール『ハーフリアル ―― 虚実のあいだのビデオゲーム』(ニューゲームズオーダー、2016年)。2015年より立命館大学衣笠総合研究機構客員研究員。
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