中国共産党の支配と権力
党と新興の社会経済エリート
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グローバル化と経済成長による巨大な社会変動の只中にあって、中国共産党はどのようにして一党独裁を維持しているのか? 2000年代に入り新興エリート層を取り込みつつある共産党の実態と現代中国政治の展望についての、最新かつ画期的な実証研究。
▼2001年、江沢民中国共産党総書記が公式化した「最も広範な人民の根本的利益」の「人民」という言葉が意図したのは、「私企業家・専門職(弁護士、医者)、外資系社員」など「新社会階層」を取り込むことにあった。それ以降現在まで、党員リクルートも活発化し、さらに、企業へと「天下った」元党幹部らに党籍維持を保証するなど、既得権益体制の維持を図ろうとする動きが加速している。 ▼多数の資料と緻密な実証分析に基づき、共産党による支配の実態を解明するとともに、民主化を含む今後の中国政治の方向性を探る、アクチュアルな問題に切り込んだ意欲的な研究書。


現代中国 第87巻に書評が掲載されました(評者:法政大学 菱田雅晴氏、133〜136頁)。
中国研究月報 第67巻第7号に書評を掲載いただきました。(評者 九州大学 杜崎群傑氏)
アジア経済 第54巻第1号に書評が掲載されました(評者:諏訪一幸氏、106〜109頁)。

図表一覧 序章 政党研究の対象としての中国共産党の「復権」 第1節 中国の「党=国家体制」と新興の社会経済エリート (1) 本書の主題 (2) 新興エリート層の台頭と中国共産党の「生き残り戦略」 第2節 中国の体制変動と中産階級(中間層)に関する研究 (1) 資本主義的近代化と民主化をめぐる楽観的認識 (2) 中産階級の政治的志向と民主化をめぐる悲観的認識 第3節 支配の制度化と政治的適応をめぐる諸問題 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
鈴木 隆(すずき たかし) 愛知県立大学外国語学部中国学科専任講師。1973年生まれ。 慶應義塾大学大学院法学研究科博士課程満期退学、博士(法学)。 財団法人日本国際問題研究所研究員などを経て、2011年より現職。 主要業績:『党国体制の現在―変容する社会と中国共産党の適応』(共著、慶應 義塾大学出版会、2012年)、ほか。
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