憲政を想い、独裁に惹かれた近現代の中国。揺れ動く中国政治の本質に、歴史家が迫る。
▼中華民国期の中国(1912-1949)において、憲政という理念の系譜とそれにかかわる政治的自由のありよう、また一方で同じく憲政の枠組みによって実現された一党独裁、という一見相反する政治的現象を関連づけながら考察し、現代中国への道程と課題を探る試み。 ▼辛亥革命100年を契機に、中国における憲政と民主制を問い直す一冊。

中国研究月報 2012年4月号(66巻4号)に書評が掲載されました(滝田豪氏評、49頁)。

序 章 中華民国の憲政と独裁(久保亨・嵯峨隆) 刊行の趣旨 本書の成り立ち 本書の内容
第1章 中国第三勢力評価の問題――政治史と政治思想史との間(山田辰雄) はじめに 1 近代中国の歴史的政治構造 2 第三勢力論 3 孫文と国民党左派 おわりに――中華人民共和国における第三勢力の可能性
第2章 自由への礼賛と批判――陳独秀・胡適・毛沢東・孫文の相剋(横山宏章) はじめに 1 西欧啓蒙思想を武器に、個人の解放を唱えた陳独秀の自由論 2 「イ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編著者】 久保亨(くぼ とおる) 信州大学人文学部教授。1953年生まれ。主要著作:『戦間期中国〈自立への模索〉―関税通貨政策と経済発展』(東京大学出版会、1999年)、『1949年前後の中国』(編著、汲古書院、2006年)、『シリーズ中国近現代史C 社会主義への挑戦―1945−1971』(岩波新書、2011年)、ほか。
嵯峨隆(さが たかし) 静岡県立大学国際関係学部教授。1952 年生まれ。主要著作:『近代中国アナキズムの研究』(研文出版、1994年)、『中国黒色革命論―師復とその思想』(社会評論社、2001年)、『戴季陶の対日観と中国革命』(東方書店、2003年)、ほか。
【著者】 山田辰雄(やまだ たつお) 慶應義塾大学名誉教授。1938年生まれ。主要著作:『中国国民党左派の研究』(慶應通信、1980年)、『近代中国人名辞典』(主編、霞山会、1995年)、『中国近代政治史 改訂版』(放送大学教育振興会、2007年)ほか。
横山宏章(よこやま ひろあき) 北九州市立大学大学院社会システム研究科教授。1944年生まれ。主要著作:『中華民国史――専制と民主の相剋』(三一書房、1996年)、『中華民国――賢人支配の善政主義』(中央公論社、1997年)、『陳独秀の時代――「個性の解放」をめざして』(慶應義塾大学出版会、2009年)ほか。
陳謙平(ちん けんぺい) 南京大学歴史系教授、中華民国史研究センター主任。1955年生まれ。主要著作:『抗戦前後之中英西蔵交渉(1935-1947)』(北京:三聯書店、2003年)、『中華民国史新論――政治、中外関係、人物巻』(主編、北京:三聯書店、2003年)、『中華民国史』全4巻(共編、南京:南京大学出版社、2006年)ほか。
味岡徹(あじおか とおる) 聖心女子大学教授。1949年生まれ。主要著作:『中国国民党訓政下の政治改革』(汲古書院、2008年)、『中華民国の模索と苦境 1928〜1949』(共著、中央大学出版部、2010年)ほか。
西村成雄(にしむら しげお) 放送大学教養学部教授。1944年生まれ。『20世紀中国の政治空間――「中華民族的国民国家」の凝集力』(青木書店、2004年)、『党と国家――政治体制の軌跡』(共著、岩波書店、2009年)、『20世紀中国政治史研究』(共著、放送大学教育振興会、2011年)ほか。
水羽信男(みずは のぶお) 広島大学大学院総合科学研究所教授。1960年生まれ。主要著作:『中国近代のリベラリズム』(東方書店、2007年)、『“近代中国与日本”学術研討論文集』(共著、巴蜀出版社、2010年)、「1950年代における『民族資産階級』について――中国民主建国会の反右派闘争から考える」『東洋史研究』(第67巻第4号、2009年)ほか。
高田幸男(たかだ ゆきお) 明治大学文学部教授。1961年生まれ。主要著作:『現代中国の歴史――両岸三地100年のあゆみ』(共著、東京大学出版会、2008年)、『新史料からみる中国現代史――口述、電子化、地方文献』(共編著)(東方書店、2010年)、『アジア周縁から見たアメリカ――1850年-1950年』(共著、彩流社、2010年)ほか。
姜良芹(きょう りょうきん) 南京大学歴史系副教授、中華民国史研究センター副主任。1972年生まれ。主要著作:『南京国民政府内債問題研究(1927-1937)』(南京:南京大学出版社、2003年)、「南京国民政府1936年内債整理案述評」『近代史研究』(2004年第1期)、「従淞滬至南京:蒋介石政戦略選択之失誤及其転向」『南京大学報』(2011年第1期)ほか。
姫田光儀(ひめだ みつよし) 中央大学名誉教授。1937年生まれ。主要著作:『中国20世紀史』(共著、東京大学出版会、1993年)、『戦後中国国民政府史の研究――1945-1949年』(編著、中央大学出版部、2001年)、『日中戦争の国際共同研究1 中国の地域政権と日本の統治』(共編、慶應義塾大学出版会、2006年)ほか。
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