中華民国の憲政と独裁 1912―1949

序 章 中華民国の憲政と独裁(久保亨・嵯峨隆) 刊行の趣旨 本書の成り立ち 本書の内容
第1章 中国第三勢力評価の問題――政治史と政治思想史との間(山田辰雄) はじめに 1 近代中国の歴史的政治構造 2 第三勢力論 3 孫文と国民党左派 おわりに――中華人民共和国における第三勢力の可能性
第2章 自由への礼賛と批判――陳独秀・胡適・毛沢東・孫文の相剋(横山宏章) はじめに 1 西欧啓蒙思想を武器に、個人の解放を唱えた陳独秀の自由論 2 「イプセン主義」に見る胡適の「健全な個人主義」 3 毛沢東の個人主義認識 4 「放蕩不羈」と解釈する孫文の自由論 5 人権論争における胡適の孫文批判 6 陳独秀の訓政批判 7 「民主と独裁」論争 8 政権に反対する自由 おわりに
第3章 伝統文化と近代中国の政治思想(陳謙平) はじめに 1 西洋政治思想の衝撃 2 中国の伝統的政治理念 3 近代中国の政治思想 4 近代中国の政党 5 民国期の憲政 おわりに 第4章 民国憲政の二つの潮流(味岡徹) はじめに 1 民国時期の憲法、憲法草案類 2 憲法、憲法草案類における人権、司法条項 3 憲法、憲法草案類における権力分立規定と地方制度 4 憲法論、憲政論の新しい潮流の出現 おわりに
第5章 憲政をめぐる公共空間と訓政体制――1944年重慶の政治過程(西村成雄) はじめに 1 「訓政体制」批判の国際的契機 2 国防最高委員会・国民参政会による「憲政実施協進会」の組織化 3 重慶「憲政公共空間ん」の形成 おわりに
第6章 抗戦前夜の中国社会論とリベラリズム――章乃器を素材として(水羽信男) はじめに 1 章乃器の中国社会認識 2 章乃器の変革構想 おわりに
第7章 民国期教育におけるプラグマティズムと民主主義(高田幸男) はじめに 1 「教育宗旨」からみたプラグマティズム教育の位置 2 公民科に見る民主主義教育の変遷 3 訓政期民主主義教育の諸相 おわりに
第8章 国民革命とアナキズム(嵯峨隆) はじめに 1 1927年までのアナキズムの動向 2 『革命週報』のアナキズム 3 『革命週報』と李石曽 おわりに
第9章 連邦論と1920年代の連省自治運動――呉佩孚の政治思想を中心に(姜良芹) はじめに 1 連省自治運動の勃興――非常時期のやむを得ざる選択 2 呉佩孚の連省自治運動に対する支持――第1次奉直戦争以前 3 呉佩孚の連省自治運動に対する態度の変換――第1次奉直戦争以降 おわりに
第10章 同時代日本の中華民国認識――矢野仁一の中国論を中心に(久保亨) はじめに 1 矢野の略歴と時論執筆への使命感 2 あるねき国民国家を基準とした中華民国論 3 矢野の中華民国論の背景と展開 おわりに
補 論 民国史論への道――その継承と発展のために(姫田光義) はじめに――寄稿の目的 1 自分なりの研究史の反省――日中友好への願いが過度に中国革命を美化したのか!? 2 憧れと幻想の中国から厳しい現実へ――研究対象への主体者としての意識はなくしたくないが 3 中国革命と社会主義――史的唯物論と革命史は遠くなりにけりか!? おわりに――われわれは何のために研究するのかという命題
付録資料1 民国史研究会(山田辰雄、1983年) 付録資料2 今こそ民国史観を(山田辰雄、1990年) 付録資料3 日本の民国史研究と“民国史論の会”(久保亨、2009年)
あとがき 事項・人名索引 執筆者紹介
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