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連載

The Cambrige Gazette


グローバル時代における知的武者修行を目指す若人に贈る
栗原航海(後悔)日誌@Harvard

『ケンブリッジ・ガゼット:Lessons Learned』

第5号(2006年10月)
 

 

■ 目次 ■

 

4. 編集後記

「栗原後悔日誌@Harvard」第5号の本文は以上です。本校に縁の深いケネディ大統領が日本人記者団から「尊敬する日本人は?」と聞かれ、その回答「上杉鷹山」にほとんどの記者が即応できなかったという逸話は皆様ご存知だと思います。この真偽はともかく、私達は日本の文化をはじめとして、世界各地の文化を良く知る必要がありましょう。現在、鷹山公の師、細井平洲の『嚶鳴館遺稿』(文化4(1808)年版を米澤圖書館が昭和3(1928)年に復刻したもの)を本学図書館で借り出して、読んでおります。漢文であるだけに、その正確な理解は私にとって簡単ではありません。改めて私自身の勉強不足を痛感しています。

 先日、ボストンを訪れたロンドン生活の長い或る方と共に、レストラン「ロック・オーバー」に行きました。その方は私のレストラン選定を褒めて下さり、「Londonみたいな雰囲気ですね」と仰いました。私は「ここはNew Englandですから」と微笑みつつそれにお応えしました。その夜、柔らかな光のなかで頂いたワインと食事、交わした言葉、そして応対する店員と周囲の客の品性、すべてに満足した一時でした。特に、シェイクスピアの『ヘンリー4世(Henry IV)』にも出てくる「マデイラ・ワイン」は忘れ難いものがありました。若人の皆様、これから世界中のレストランで、ビジネスや研究の素晴らしい仲間とも語り合うことでしょう。その時に、どんな楽しい話題を提供出来るか。それこそ、皆様の情報交換能力の見せどころです。皆様のご努力とご活躍を心から願ってやみません。さて、中東情勢が激しく変化するなか、不安を抱きつつ私がインターネットで時折訪れるサイトがあります。それは、The Gazetteの2月号の最後でも触れたパリのマドレーヌ広場に在る高級食材店「キャヴィア・カスピア」のサイトです。サイト上にあるキャヴィアの最高級品ベルーガの「ロワヤル・イラン」や「カスピェンヌ」はその名が表す如くカスピ海沿岸の中央アジア産です。しかしベルーガが採れるオオチョウザメの生息数が、環境変化と乱獲・密漁で急減し、通称ワシントン条約(CITES)によって、今年、天然物の全面禁漁と貿易禁止となりました。一人の地球市民としての立場だけでなく、私は美味しい料理を頂く人間の立場からも、中東に平和と繁栄が到来することを切に願っております。

 

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著者プロフィール:栗原潤 (くりはら・じゅん)
ハーバード大学ケネディスクール[行政大学院]シニア・フェロー[上席研究員]
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