“最大の謎”の解明に挑む!
働き手にとって最重要な関心事である所得アップが実現しないのは、なぜ? 22名の気鋭が、現代日本の労働市場の構造を、驚きと納得の視点から明らかに。
▼企業業績は回復し人手不足の状態なのに賃金が思ったほど上がらないのはなぜか? この問題に対して22名の気鋭の労働経済学者、エコノミストらが一堂に会し、多方面から議論する読み応え十分な経済学アンソロジー。 ▼各章は論点を「労働需給」「行動」「制度」「規制」「正規雇用」「能力開発」「年齢」の七つの切り口のどれか(複数もあり)を中心に展開。読者はこの章が何を中心に論議しているのかが一目瞭然に理解できる、わかりやすい構成となっている。 ▼編者の玄田教授はまず、本テーマがなぜいまの日本において重要か、という「問いの背景」を説明し、各章へと導く。最後に執筆者一同がどのような議論を展開したかを総括で解題する。 ▼労働経済学のほか、経営学、社会学、マクロ経済、国際経済の専門家や、厚生労働省、総務省統計局、日銀のエコノミストなど多彩な顔ぶれによる多面的な解釈は、まさに現代日本の労働市場が置かれているさまを記録としてとどめる役割も果たしている。
日本経済新聞 2019年2月9日「読書欄」(29面)に書評が掲載されました。評者は中原淳氏(立教大学教授)です。
統計 2018年10月号(第六十九巻 第十号)(p.72〜p.73)に書評が掲載されました。評者は齊藤誠氏(一橋大学大学院経済学研究科教授)です。
UTokyo BiblioPlaza(東京大学教員の著作を著者自らが語る広場) 編者の玄田有史先生による紹介が掲載されました。 本文はこちら
基本データ 人手不足と賃金停滞 玄田有史・深井太洋
序 問いの背景 玄田有史
第1章 人手不足なのに賃金が上がらない三つの理由 近藤絢子 ポイント 【規制】 【需給】 【行動】 1 求人増加の異なる背景 2 医療・福祉:介護報酬制度による介護職の賃金抑制 3 「人手不足イコール労働力に対する超過需要」ではない可能性 4 名目賃金の下方硬直性の裏返し 5 複合的な要因解明 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【編者】 玄田有史(げんだ・ゆうじ) 東京大学社会科学研究所教授 1964年生まれ。88年、東京大学経済学部卒業。ハーバード大、オックスフォード大各客員研究員、学習院大学教授等を経て、現在 東京大学社会科学研究所教授。博士(経済学)。 主著 『仕事のなかの曖昧な不安』(中央公論新社、2001年、日経・経済図書文化賞、サントリー学芸賞) 『ジョブ・クリエイション』(日本経済新聞社、2004年、エコノミスト賞、労働関係図書優秀賞) 『孤立無業』(日本経済新聞出版社、2013年) 『危機と雇用』(岩波書店、2015年、冲永賞) ほか多数。
【執筆者・五十音順】 阿部正浩(あべ・まさひろ)中央大学経済学部教授 (第3章) 1966年生まれ。慶應義塾大学大学院商学研究科博士課程単位取得退学。博士(商学)。 獨協大学教授等を経て現職。 主著 『日本経済の環境変化と労働市場』東洋経済新報社、2005年。
有田 伸(ありた・しん)東京大学社会科学研究所教授 (第15章) 1969年生まれ。東京大学大学院総合文化研究科単位取得退学。博士(学術)。 東京大学大学院総合文化研究科講師、助教授等を経て現職。 主著 『就業機会と報酬格差の社会学』東京大学出版会、2016年。
上野有子(うえの・ゆうこ)内閣府経済財政分析担当参事官付 (第16章) 1972年生まれ。エセックス大学経済学部大学院博士課程修了。一橋大学経済研究所准教授などを経て現職。 主論文 “Declining Long-term Employment in Japan,” Journal of the Japanese and International Economics vol. 28(with Daiji Kawaguchi)2013.
梅崎 修(うめざき・おさむ)法政大学キャリアデザイン学部教授 (第6章) 1970年生まれ。大阪大学大学院経済学研究科博士後期課程修了。経済学博士。 主業績 『人事の統計分析』共編著、ミネルヴァ書房、2013年。
大島敬士(おおしま・けいじ)総務省統計局消費統計課統計専門職 (第9章) 1982年生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。総務省統計局国勢統計課労働力人口統計室、内閣府経済社会総合研究所国民生産課等を経て現職。
太田聰一(おおた・そういち)慶應義塾大学経済学部教授 (第11章) 1964年生まれ。京都大学経済学部卒業、ロンドン大学にてPh. D. 取得。名古屋大学大学院経済学研究科教授等を経て現職。 主著 『若年者就業の経済学』日本経済新聞出版社、2010年。
小倉一哉(おぐら・かずや)早稲田大学商学部教授 (第2章) 1965年生まれ。早稲田大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(商学)。労働政策研究・研修機構研究員を経て現職。 主著 『「正社員」の研究』日本経済新聞出版社、2013年。
加藤 涼(かとう・りょう)日本銀行金融研究所・経済研究グループ長 (第14章) 1973年生まれ。東京大学経済学部卒業、日本銀行入行。オハイオ州立大学にてPh. D. 取得。国際通貨基金エコノミスト等を経て現職。 主著 『現代マクロ経済学講義』東洋経済新報社、2006年。
川口大司(かわぐち・だいじ)東京大学大学院経済学研究科教授 (第7章) 1971年生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業、ミシガン州立大学大学院にて経済学Ph. D. 取得。大阪大学、筑波大学、一橋大学を経て現職。 主著 『法と経済で読みとく雇用の世界』共著、有斐閣、2012年。
神林 龍(かんばやし・りょう)一橋大学経済研究所教授 (第16章) 1972年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。東京都立大学助教授等を経て現職。 主業績 “Long-term Employment and Job Security over the Past 25 Years : A Comparative Study of Japan and The United States,” Industrial Labor Relations Review Vol. 70, No.3, pp.359-394, Mar. 2017(with Takao Kato).
黒田啓太(くろだ・けいた)連合総合生活開発研究所主任研究員 (第4章) 1977年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、厚生労働省入省。雇用政策課課長補佐等を経て2015年に連合総研に出向、現在に至る。
黒田祥子(くろだ・さちこ)早稲田大学教育・総合科学学術院教授 (第5章) 1971年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、日本銀行入行。一橋大学助教授、東京大学准教授を経て現職。博士(慶應義塾大学、商学)。 主著 『労働時間の経済分析』共著、日本経済新聞出版社、2014年。
近藤絢子(こんどう・あやこ)東京大学社会科学研究所准教授 (第1章) 1979年生まれ。コロンビア大学大学院博士課程(経済学)修了。大阪大学講師、法政大学准教授、横浜国立大学准教授を経て現職。 主業績 “The Effectiveness of Government Intervention to Promote Elderly Employment : Evidence from Elderly Employment Stabilization Law,”with Hitoshi Shigeoka, Industrial and Labor Relations Review, forthcoming.
佐々木勝(ささき・まさる)大阪大学大学院経済学研究科教授 (第8章) 1969年生まれ。ジョージタウン大学大学院博士課程修了。 主著 『サーチ理論:分権的取引の経済学』共著、東京大学出版会、2007年。
佐藤朋彦(さとう・ともひこ)総務省統計局統計調査部消費統計課調査官 (第9章) 1959年生まれ。新潟大学理学部卒業、総理府(現・内閣府)任官。経済企画庁、総務庁、福岡県調査統計課、東京大学社会科学研究所助教授等を経て現職。 主著 『数字を追うな 統計を読め』日本経済新聞出版社、2013年。
塩路悦朗(しおじ・えつろう)一橋大学大学院経済学研究科教授 (第10章) 1965年生まれ。イェール大学大学院博士課程修了。(Ph. D.)。横浜国立大学経済学部助教授等を経て現職。 主論文 「ゼロ金利下における日本の信用創造」照山博司ほか編『現代経済学の潮流2016』所収、東洋経済新報社、2016年。
中井雅之(なかい・まさゆき)厚生労働省政策統括官(統計・情報政策担当)付参事官 (第12章) 1966年生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業、労働省(現・厚生労働省)入省。職業安定局雇用政策課長、内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局参事官(兼務)等を経て現職。 主業績 労働経済白書(2012年)、経済白書の分担執筆(1993〜95年)など。
西村 純(にしむら・いたる)労働政策研究・研修機構研究員 (第13章) 1982年生まれ。同志社大学大学院社会学研究科産業関係学専攻博士後期課程修了。博士(産業関係学)。 主著 『スウェーデンの賃金決定システム』ミネルヴァ書房、2014年。
原ひろみ(はら・ひろみ)日本女子大学家政学部家政経済学科准教授 (第7章) 1970年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程単位取得退学。博士(経済学)。労働政策研究・研修機構研究員等を経て現職。 主著 『職業能力開発の経済分析』勁草書房、2014年。
深井太洋(ふかい・たいよう)東京大学大学院経済学研究科博士課程 (巻頭基本データ) 1990年生まれ。横浜国立大学経済学部卒業、一橋大学大学院経済学研究科修了。 主業績 “Childcare availability and fertility : Evidence from municipalities in Japan,” Journal of the Japanese and International Economics vol. 43, pp. 1-18, 2017.
山本 勲(やまもと・いさむ)慶應義塾大学商学部教授 (第5章) 1970年生まれ。ブラウン大学大学院博士課程修了、Ph. D. 取得。日本銀行調査統計局、同金融研究所勤務等を経て現職。 主著 『労働時間の経済分析』共著、日本経済新聞出版社、2014年。
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