アメリカでブラックボーイを 育てることの絶えざる恐怖――
父から息子への手紙 タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』 そして今 母から息子たちへの手紙 イマニ・ペリー『ブリーズ 息子たちへの手紙』
息ができない(I can't breathe.)という絶望的な恐怖は一本の鎖として、 奴隷船の船倉からアスベストの舞う廊下へ、漆黒の炭鉱へ、 そして締め付ける警官の腕へと私たちをつないでいる。 ―「U 飛翔」から。

T 恐 怖 U 飛 翔 V 運 命
あとがき 謝辞 ペーパーバック版への序文 訳者解説(萩埜亮) 訳者あとがき(池田年穂) 随感 タナハシ・コーツとイマニ・ペリー(池田年穂) 訳者らによる人名リスト 原註
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
イマニ・ペリー(Imani Perry) 1972 年アメリカ合衆国アラバマ州バーミングハム生まれ。本書執筆時はプリンストン大学アフリカ系アメリカ研究教授。現在はハーバード大学の女性・ジェンダー・セクシュアリティ研究教授とアフリカ・アフリカ系アメリカ研究教授を兼任。South to America: A Journey Below the Mason-Dixon to Understand the Soul of a Nation, 2022がニューヨーク・タイムズ・ベストセラーとなり、全米図書賞ノンフィクション部門を受賞。2023 年にはマッカーサー・フェローに選出された。PEN/ ジャクリーン・ボグラッド・ウェルド伝記賞を受賞したLooking for Lorraine: The Radiant and Radical Life of Lorraine Hansberry, 2018、近刊のBlack in Blues: How a Color Tells the Story of My People, 2025 など9 冊の著作がある。『アトランティック』誌、『ニューヨーク・タイムズ』紙をはじめ多くのメディアに寄稿している。
池田年穂(いけだ としほ) 1950年横浜市生まれ。慶應義塾大学名誉教授。移民史、移民文学。タナハシ・コーツ(『世界と僕のあいだに』2017年ほか)、ティモシー・スナイダー(『自由なき世界』2020年、『暴政』2017年、『赤い大公』2014年ほか)らのわが国への紹介者として知られる。コーツの『なぜ書くのか』(2025年)、キャシー・パーク・ホンの『マイナーな感情』(2024年)、カーラ・コルネホ・ヴィラヴィセンシオの『わたしは、不法移民』(2023年)、マーシ・ショアの『ウクライナの夜』(2022年)と問題作を次々と翻訳している。
萩埜亮 (はぎの りょう) 東京都生まれ。沖縄国際大学専任講師。ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校博士課程修了(Ph.D. in English)。専門はアメリカ文学・文化、批判的即興研究。主要論文に「“Commerce! Of all words the most magical”: クロード・マッケイ『バンジョー』における商業ネットワークと即興の戦術」(『多民族研究』)、「“Through the Intimacies of This Dance”: Moral Perfectionism in William Carlos Williams’s Kora in Hell and Other Improvisations」(The Journal of the American Literature Society of Japan)、共訳書にヘンリー・ミラー『三島由紀夫の死』(水声社)などがある。
|