「交通・通信革命」時代の明治日本 近代日本の産業化をささえた明治政府の郵便・電信政策、情報インフラ・ネットワークの構築と地域経済への影響を明らかにし、「文明の利器」を手掛りに福澤諭吉『民情一新』を問い直す。
明治期日本における郵便・電信事業など情報インフラ整備・利活用の実態を一次資料に基づき詳細に分析。また、群馬・長野の養蚕・製糸・絹織物業を事例に、殖産興業政策における情報インフラの役割や、地域産業の発展過程を明らかにすることで、供給・需要の双方から「情報と経済」の関係を考察する。「情報の経済史」研究の文献紹介・論点整理の書としても有用性の高い一冊。
序 章 一 「交通・通信革命」の時代 二 近代日本における通信事業 三 近代日本の「情報革命」 四 本書の構成
第一章 郵便事業収支統計の再検討 はじめに 一 明治初期の財政・会計システム 二 郵便事業システムの形成 三 郵便事業の収支統計 四 郵便事業の収入構造 五 郵便事業の支出構造 六 郵便収支統計の再検討 おわりに 第二章 収支統計からみた電信事業の発展 はじめに 一 電信事業の開始とネットワーク ……
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杉山伸也(すぎやま・しんや) 1972年早稲田大学政治経済学部卒業, 81年ロンドン大学大学院博士課程修了(Ph.D.),同年ロンドン大学政治経済学院(LSE)専任研究員,84年慶應義塾大学経済学部助教授,91年より同教授,2014年名誉教授。 著書に,『日英経済関係史研究1860〜1940』(慶應義塾大学出版会,2017年),『グローバル経済史入門』(岩波新書,2014年),『日本経済史 近世−現代』(岩波書店,2012年),『明治維新とイギリス商人』(岩波新書,1993年),Japan’s Industrialization in the World Economy 1859〜1899(Athlone Press, 1988)(第32回日経経済図書文化賞受賞),編著書に『馬場辰猪 日記と遺稿』(慶應義塾大学出版会,2015年),Economic History of Energy and Environment(Springer, 2015),『日本石炭産業の衰退』(慶應義塾大学出版会,2012年),『岩波講座「帝国」日本の学知』第2巻(「帝国」の経済学)(岩波書店,2006年),『日英交流史』第2巻(経済)(東京大学出版会,2001年),『近代アジアの流通ネットワーク』(創文社,1999年)などがある。
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