〈トルコ国民〉とは何か
民主化の矛盾とナショナル・アイデンティティー
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――モザイク国家の苦悩と現実――
世俗主義/政教分離を国是としたトルコ。 しかし1980年代以降、イスラームが公定イデオロギー化され、 クルド人などの民族的マイノリティーや、 アレヴィ―などの宗教的マイノリティー問題により、その枠組みは動揺している。
多様性を包摂した「国民統合」政策の抱える矛盾と困難を描き出す、意欲作。
『史学雑誌』 第130編 第9号(2021年9月)(p.110〜p.117)に書評が掲載されました。評者は佐々木紳氏(成蹊大学文学部教授)です。
図書新聞 第3486号(2021年3月6日)に掲載されました(3面)。評者は澤江史子氏(上智大学総合グローバル学部教授)です。
序 「多様性」の受容に苦悶するトルコ共和国 第1章 「トルコ国民」の創造とその矛盾――多民族国家のネイション概念 第2章 「トルコ・イスラーム総合」への道――国民概念の矛盾の拡大 第3章 民族‐宗教的連帯の確立――宗務庁が目指す国民統合 第4章 宗教的亀裂――アレヴィーの排除 第5章 民族的亀裂――クルド人の排除 第6章 政治的イスラームの亀裂――ギュレン運動からみる多様性包摂の課題 第7章 エルドアン政権下のトルコ国民統合政策とその限界 終 章 「トルコ民族」から「トルコ国民」 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
鈴木 慶孝(すずき よしたか) 1987年茨城県生まれ。2018年慶應義塾大学大学院社会学研究科後期博士課程単位取得退学。博士(社会学)。 専門領域は国際社会学、多文化主義・多文化共生研究、トルコ研究。 現在、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員。清泉女子大学、津田塾大学で非常勤講師。
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