イスタンブル交易圏とイラン
世界経済における近代中東の交易ネットワーク
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非ムスリム商人、イラン商人、ヨーロッパ商人らによる 綿製品、絹、タバコ、ペルシア絨毯の流通から明らかにする 強固で自律的なネットワークの持続と変容
近代以降にイスタンブルを中心に形成され、イランにまで広がった大規模な交易圏。本書はこの地域を主題に、国境を越えた経済圏の問題を考察する。非ムスリム商人、イラン商人、そして新たに参入してきたヨーロッパ商人たちの移動、交易と拮抗の実態、そして綿製品、絹、タバコ、ペルシア絨毯などの商品流通の自律性を明らかにし、ヨーロッパの資本主義経済の影響にさらされた交易圏が、自らを再編成しながら今日まで力強く生き延びた理由を比較関係史の観点から解き明かす。

東洋史研究 第76巻第3号(2017年12月)「書評」(p.40)に書評が掲載されました。評者は、水田正史氏です。
社会経済史学 Vol.83, No.1(2017年5月)「書評」(p.147)に掲載されました。評者は、永田雄三氏です。
史學雑誌 第124編第11号(2015年11月)に新刊紹介(p.124〜125)が掲載されました。評者は、岡部大悟氏です。

凡 例
序 章 イスタンブル交易圏のなかのイラン 1 中東イスラーム世界における都市形成と市・交易圏 2 近代以前の中東イスラーム世界における交易圏の特徴 3 交易圏をみる視角 4 イスタンブルからイランにつながる交易ネットワーク
第1章 イスタンブルの中継貿易とイラン はじめに 1 アミーノッザルブとオスマン帝国の非ムスリム商人 1) イスファハーンからテヘランへの移住 2) ヨーロッパに延びるラッリ商会の交易ネットワ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
坂本 勉(さかもと つとむ) 1945年生まれ。1969年慶應義塾大学文学部東洋史専攻卒業。1975年慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。1974年より慶應義塾大学文学部助手、1981年助教授、1991年教授、2011年定年により退職、現在慶應義塾大学名誉教授。1976−78年テヘラン大学、ケンブリッジ大学中東センターに留学。1987−89年日本学術振興会西アジア地域センター(アンカラ)派遣研究員およびアンカラ大学言語・歴史・地理学部講師としてトルコに滞在。1999−2000年ボアジチ大学(イスタンブル)文理学部訪問教授。専攻は近代中東イスラーム世界史、イラン=トルコ比較関係史、日本とイスラーム世界の交流史。 著書として『トルコ民族主義』講談社、1996年、『イスラーム巡礼』岩波書店、2000年、『ペルシア絨毯の道』山川出版社、2003年、『トルコ民族の世界史』(『トルコ民族主義』の増補改訂版)慶應義塾大学出版会、2006年、編著として『イスラーム復興はなるか』講談社、1993年、『近代日本とトルコ世界』勁草書房、1999年、『日中戦争とイスラーム』慶應義塾大学出版会、2008年、『井筒俊彦とイスラーム』慶應義塾大学出版会、2012年などがある。
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