昭和22年から28年9月の逝去まで、 折口信夫7年間の鮮烈な日常 [解説] 三浦雅士 「ゆたかにゆだねる」
▼『折口信夫の晩年』(昭和44年、中央公論社刊)の復刊企画。
折口信夫の生誕130年を記念して復刊する本書は、昭和22年から28年9月の逝去まで、折口の晩年7年間を共に生活した著者による追憶の書である。折口信夫の生きる姿をまざまざと写し出すその鮮烈な印象は21世紀の現在もいささかも古びることがない。 17年間を共に暮らし、出征後に養子となった春洋が硫黄島で戦没し、深い悲しみを湛えた折口の率直な「死生観」や師・柳田国男に対する礼のありよう、若い日に常用したコカインの影響で利かなくなった臭覚、代々医を業としてきた生家の影響で自ら調合する薬など、日常生活を生き生きと描いた記録としても類がなく、折口信夫に全人的な薫陶を受けた若き日の岡野弘彦の思いがほとばしっている本書は、「折口学」入門に欠かせないものである。
日本経済新聞(夕刊) 2019年10月5日(10面)「文学周遊」で、本書が紹介されました。
図書新聞 第3360号(2018年7月21日)「2018年上半期読書アンケート」(5面)に掲載されました。評者は鶴見太郎氏(日本近現代史)です。
毎日新聞 2017年11月26日「読書面」(12面)に書評が掲載されました。
本文(1−21) あとがき 岡野 弘彦 解説 ゆたかにゆだねる 三浦雅士
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
岡野 弘彦(おかの ひろひこ) 1924年、三重県生れ。歌人。日本芸術院会員、文化功労者、国学院大学名誉教授。国学院大学国文科卒業。昭和22年から28年9月の逝去まで、折口信夫と生活を共にして世話をする。「折口信夫全集」「折口信夫全集ノート編」の編集に参加。 評論・随想・歌論として『折口信夫の記』『折口信夫伝』、『歌を恋ふる歌』『花幾年』『万葉秀歌探訪』など多数。近刊に『歌集 美しく愛しき日本』(角川書店、2012年)、『歌仙 一滴の宇宙』(三浦雅士、長谷川櫂と共著、思潮社、2015年)がある。
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