伊藤仁斎の思想世界
仁斎学における「天人合一」の論理
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人倫有るときは、則ち天地に立つ。 人倫無きときは、則ち天地立たず。 人は誰もが「天地」を担う実践主体である。
「人と天地との一体化」とは何か。儒学の「天人合一」説を独自の立論を通して再定義した伊藤仁斎の思想に焦点を当て、その思想的意義を問い直す。仁斎学の思想体系を平易明白に解説した入門書。
| | | | | | 慶應義塾大学三田哲学会叢書 | | | | | | | 三田哲学会は創立100年を機に、専門的な研究成果を「生きられる知」として伝え、 公共の中に行き渡らせる媒体として本叢書の発刊を企図した。 シリーズ名は、ars incognita アルス インコグニタ。 ラテン語で「未知の技法」を意味する。 単なる知識の獲得ではなく、新たな「生きる技法としての知」を作り出すという精神を表現している。
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教育学研究 第83巻第3号(2016年9月)「図書紹介」に掲載されました。評者は加藤守通氏(上智大学)です。
序
T 儒学の目的とその朱子学的解釈 儒学の目的 朱子学の「天地」観 朱子学における「天人合一」 天人合一の実践主体
U 江戸の儒学と社会における「天人合一」 江戸初期朱子学と「天人合一」 闇斎学と「天人合一」 江戸社会と「天人合一」 領国経営と「天人合一」 儒者・士庶人と「天人合一」 論理と現実との不整合 朱子学説に基づく回答 徂徠学と「天人合一」
V 仁斎学における「天地」の含意 人倫世界としての「天地」 自然世界とし ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
山本 正身(やまもと まさみ) 1956年生まれ。慶應義塾大学文学部教授。博士(教育学)。 1987年、慶應義塾大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専門は日本教育史、日本教育思想史、江戸儒学史。 主な著書に、『仁斎学の教育思想史的研究―近世教育思想の思惟構造とその思想史的展開』(慶應義塾大学出版会、2010年)、『日本教育史―教育の「今」を歴史から考える』(慶應義塾大学出版会、2014年)、『アジアにおける「知の伝達」の伝統と系譜』(編著、慶應義塾大学言語文化研究所、2012年)、『人物で見る日本の教育』(共著、ミネルヴァ書房、2012年)、『教育思想史』(共著、有斐閣、2009年)、ほか。
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