▼文化遺産がもたらす光と影を描きだす。
文化遺産は、博物館に保管され、展示される遺物とは異なり、現在生きている人々の生活実践に関わり、過去から受け継がれ、現在を生き、未来へと継承されるものである。現代社会では、文化遺産を単に保護・保存するだけでなく、どのように付き合い、活用し、未来に託すかが問われている。本書は文化遺産を過去の中に閉じ込めずに、生きている遺産として多元的に把握しようとするものである。
みすず no.645(2016年1-2月号)の「2015年読書アンケート」にて、小西正捷氏(南アジア文化史)からコメントをいただきました。
読売新聞 2015年9月13日の読書面(31面)にご紹介いただきました。
読売新聞 2015年9月13日に短評が掲載されました。 本文はこちら
序 アジアの文化遺産 ―― 過去・現在・未来(鈴木 正崇) はじめに / 1 世界遺産 / 2 世界遺産と日本 / 3 無形文化遺産 / 4 文化遺産の「拡 大解釈」 / 5 文化遺産への多様なアプローチ / 6 遺産の増殖 / 7 文化遺産の転換期
世界遺産条約の課題とこれからの遺産アプローチ(稲葉 信子) はじめに ―― 和食が世界遺産に? / 1 国際的な遺産ブランドのいろいろ / 2 保護ある いは保存か、保全かの議論について / 3 カルチュラルランドスケープ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
(※掲載順) 【編者】 鈴木 正崇(すずき まさたか) 慶應義塾大学名誉教授・慶應義塾大学東アジア研究所客員所員。専門は、文化人類学、宗教学。 1949年生まれ。慶應義塾大学大学院文学研究科博士課程修了。文学博士。 主要著作に、『ミャオ族の歴史と文化の動態―中国南部山地民の想像力の変容―』(風響社、2012年)、『山岳信仰―日本文化の根底を探る―』(中央公論新社、2015年)など。
【著者】 稲葉 信子(いなば のぶこ) 筑波大学大学院人間総合科学研究科教授。専門は、遺産論、建築史。 1955年生まれ。東京工業大学大学院理工学研究科博士課程単位取得満期退学。工学博士。 主要著作に、『世界遺産』(共著、ポプラ社、2007年)、『環境―文化と政策―』(共著、東信堂、2008年)など。
谷 紀夫(たかたに みちお) 広島大学大学院総合科学研究科教授。専門は、文化人類学。 1955年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程中途退学。博士(学術)。 主要著作に、『ビルマの民族表象―文化人類学の視座から―』(法藏館、2008年)、『ライヴ人類学講義―文化の「見方」と「見せ方」―』(責任編集、丸善、2008年)など。
石澤 良昭(いしざわ よしあき) 上智大学特任教授・上智大学アジア人材養成研究センター所長。専門は、東南アジア史、カンボジア碑刻学。 1937年生まれ。上智大学外国語学部フランス語学科卒業。文学博士。 主要著作に、『新・古代カンボジア史研究』(風響社、2013年)、『カンボジア 密林の五大遺跡』(共著、連合出版、2014年)など。
菊池 誠一(きくち せいいち) 昭和女子大学人間文化学部教授。専門は、ベトナム考古学。 1954年生まれ。筑波大学大学院人間総合科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)。 主要著作に、『ベトナム日本町の考古学』(高志書院、2004年)、『朱印船貿易絵図の研究』(編著、思文閣出版、2014年)など。
皆川 厚一(みながわ こういち) 神田外語大学外国語学部教授。専門は、民族音楽学・バリ島の伝統音楽と芸能。 1955年生まれ。東京藝術大学大学院音楽研究科修士課程修了。芸術学修士。 主要著作に、『ガムラン武者修行―音の宝島バリ暮らし―』(パルコ出版、1994年)、『インドネシア芸能への招待―音楽・舞踊・演劇の世界―』(編著、東京堂出版、2010年)など。
前島 訓子(まえじま のりこ) 国立民族学博物館外来研究員。専門は、社会学・地域研究。 1980年生まれ。名古屋大学大学院環境学研究科博士後期課程修了。博士(社会学)。 主要著作に、「交錯する『仏教聖地』構築と多宗教的現実―インド・ブッダガヤの『仏教聖地』という場所の形成―」(『日本都市社会学会年報』第31号、2013年)、「インド『仏教聖地』構築の舞台―『仏教聖地』構築と交錯する地域社会―」(『地域社会学会年報』第23号、2011年)など。
前田 耕作(まえだ こうさく) 文化遺産国際協力コンソーシアム運営委員・アフガニスタン文化研究所所長。専門は、アジア文化史。 1933年生まれ。名古屋大学文学部卒業。 主要著作に、『アフガニスタンの仏教遺跡バーミヤン』(晶文社、2002年)、『玄奘三蔵、シルクロードを行く』(岩波書店、2010年)など。
藤木 庸介(ふじき ようすけ) 滋賀県立大学人間文化学部准教授。専門は、建築計画・文化遺産観光。 1968年生まれ。和歌山大学大学院システム工学研究科博士後期課程修了。博士(工学)。 主要著作に、『生きている文化遺産と観光―住民によるリビングヘリテージの継承―』(編著、学芸出版社、2010年)、『世界遺産と地域振興―中国雲南省・麗江にくらす―』(共編著、世界思想社、2007年)など。
菅 豊(すが ゆたか) 東京大学東洋文化研究所教授。専門は、民俗学。 1963年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科中退。博士(文学)。 主要著作に、『川は誰のものか―人と環境の民族学―』(吉川弘文館、2006年)、『「新しい野の学問」の時代へ―知識生産と社会実践をつなぐために―』(岩波書店、2013年)など。
朴 原模(パク ウォンモ) ユネスコアジア太平洋無形文化遺産国際情報ネットワーキングセンター研究情報チーム長。専門は、文化人類学、比較民俗学、無形文化遺産。 1966年生まれ。立教大学大学院文学研究科博士後期課程満期退学。 主要著作に、「モーションキャプチャーを利用した無形文化財の記録作成の方案に関する諸研究」(『文化財』第36号、2003年、韓国語)、「韓国の無形文化遺産の記録作成とデジタルアーカイブの構築」(中国民間文芸家協会編『田野の経験』2010年、中国語)など。
才津 祐美子(さいつ ゆみこ) 長崎大学多文化社会学部准教授。専門は、民俗学、文化人類学。 1969年生まれ。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(文学)。 主要著作に、『ふるさと資源化と民俗学』(共著、吉川弘文館、2007年)、『世界遺産時代の民俗学―グローバル・スタンダードの受容をめぐる日韓比較―』(共著、風響社、2013年)など。
岩本 通弥(いわもと みちや) 東京大学大学院総合文化研究科教授。専門は、民俗学。 1956年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科単位取得退学。 主要著作に、『ふるさと資源化と民俗学』(編著、吉川弘文館、2007年)、『世界遺産時代の民俗学―グローバル・スタンダードの受容をめぐる日韓比較―』(編著、風響社、2013年)など。
菊池 健策(きくち けんさく) 都留文科大学非常勤講師。専門は、日本民俗学・文化財学。 1953年生まれ。筑波大学大学院博士課程歴史人類学研究科単位取得退学。 主要著作に、『山車』日本の美術第516号(ぎょうせい、2010年)、『日本の民俗9 祭りの快楽』(共著、吉川弘文館、2009年)など。
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