戦後折口学の核心に迫り、折口芸能史の全貌がはじめて明らかにされる
▼昭和20年度、22年度、23年度に行なわれた折口信夫の芸能史講義を、池田彌三郎ノートをもとに書籍化。
▼踏歌、田楽、幸若舞、猿楽、歌舞伎、相撲――折口の古代研究の基底をなす「芸能史」の全体像に迫る未発表講義録。
われわれの言う「芸能」の説明では、 芸能は演芸に一番あたる。 せり詰めてゆくと、最後の点では 演劇的なものに到達するようだが、 実際は演劇でないものがたくさんある。 (略)概括して言うと、演劇、舞踊、 歌謡、あるいは曲芸というより 詭芸(軽業、手品)、 こういう種類のものだ。 それから広い意味の武術、 その中、特殊なもので相撲。 そういうものがみな芸能だ。 (本文より)
出版ニュース 2015年4月下旬号の「情報区」にて紹介されました。
年刊 藝能 第21号(通巻438号、2015年3月31日発行)「新刊紹介」にて紹介されました。評者は北潟喜久氏です。
読売新聞 2015年3月14日「編集手帳」にて紹介されました。
小 序 西村 亨 凡 例
昭和二十年度芸能史 一 かづらもの 二 日本芸能における男芸女芸の研究 三 神がかりの動作以外のもの、定家、通小町、墨染桜、雪 四 乙女の舞
昭和二十二年度芸能史 一 芸能史を芸能自身から釈いてゆく行き方 二 翁、松拍 三 鏡板の松 四 傘 五 道中芸 六 能役者、祝福芸 七 祝言職 八 旅 行 九 くぐつ・ほかひ 十 芸能団の遊行 十一 放 浪 十二 旅行の文学 十三 漂泊者の芸能 十 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
【著者】 折口 信夫(おりくち しのぶ) 1887〜1953年。国文学者・民俗学者・歌人・小説家。筆名は釈迢空(創作活動に使用)。 1910年國學院大學を卒業。國學院大學、慶應義塾大学の教授を歴任した。 歌集に『海やまのあひだ』『倭をぐな』など、詩集に『古代感愛集』など、小説に『身毒丸』『死者の書』などがある。『折口信夫全集』全37巻・別巻4巻、『折口信夫全集ノート編』全18巻・索引1巻、『折口信夫全集ノート編追補』全5巻が刊行されている。
【筆記者】 池田 彌三郎(いけだ やさぶろう) 1914〜1982年。国文学者、民俗学者、随筆家。元・慶應義塾大学教授。 1931年慶應義塾大学経済学部予科に入学。1934年国文科に進み、はじめて折口信夫の講義を聴く。以後折口を終生の師と仰ぐ。 著書に『芸能』『日本人の芸能』(岩崎書店)、『私説 折口信夫』、『日本文学伝承論』、『日本の幽霊』『まれびとの座』(中央公論社)、『池田彌三郎著作集』全10巻(角川書店)。
【編者】 伊藤 好英(いとう よしひで) 1948年生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程修了。高麗大学校大学院博士課程修了。 慶應義塾大学講師、國學院大學講師。元慶應義塾高等学校教諭。 著書に、『折口学が読み解く韓国芸能』(慶應義塾大学出版会)、『明解 源氏物語五十四帖』(池田彌三郎と共著、淡交社)、『韓国演劇史』(共訳、徐淵昊著、朝日出版社)、『折口信夫事典』(共著、大修館書店)など。
藤原 茂樹(ふじわら しげき) 1951年生まれ。慶應義塾大学大学院博士課程修了。慶應義塾大学教授。 専門は、古代文学・芸能史。上代文学会、古事記学会などに所属。 著書に、『万葉から万葉へ――万葉びとの言葉とこころ』(共著、NHK出版)、『池田彌三郎の学問とその後』(慶應義塾大学出版会)、『催馬楽研究』(編著、笠間書院)、『藤原流万葉集の歩き方』(NHK出版)など。
池田 光(いけだ ひかる) 1947年生まれ。池田彌三郎の長男。慶應義塾大学文学部文学科(国文学専攻)卒業。 同大学院社会学研究科(教育学専攻)博士課程修了。元洗足学園短期大学助教授。 著作に父池田彌三郎のNHK大学講座を編集した『日本文学の素材』(日本放送出版協会)、『中国運命学入門』(春秋社)、『東京百年史第四巻 大都市への成長(大正期)』(共著、東京都)、『教育の理論』(共著、八千代出版)、『教師のための教育学』(建帛社、共著)など。
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