池田彌三郎の学問―霊魂信仰のゆくえを追う。
▼本書は、池田彌三郎の学問の継承者、故井口樹生氏が生前に執筆した、師の学問やその著作の紹介、さらに恩師との対談2本を、藤原茂樹慶應義塾大学文学部教授が再編集したものである。
▼10年前の私家版「池田彌三郎の学問とその後」は希少で再版の要望に応え、藤原茂樹が編集し直し、遺稿7本と対談2本を加えて新編とした。
はじめに/再刊にあたって・藤原茂樹
第一部 昭和四十六年〜昭和五十六年 死者の声――ノート整理を終えて ぷろふぃーる 池田彌三郎 還立の詞 『まれびとの座 折口信夫と私』(池田彌三郎著)解説 書評『わが幻の歌びとたち――折口信夫とその周辺』(池田弥三郎著) 三田育直会嗜好 池田君繁盛記 ことわざの境遇――池田弥三郎『暮らしの中のことわざ』解説 書評『行くも夢 止まるも夢』(池田彌三郎著) 未整理の折口信夫国語学ノート 講座「古代学」の定着と展望―― ……
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井口 樹生(いぐち たつお) 1934年東京生まれ。58年慶應義塾大学文学部を卒業。同大学院文学研究科博士課程修了後、上智大学助手を経て、76年慶應義塾大学文学部助教授77年教授となる。文学博士。2000年在職のまま逝去。文学部時代から一貫して池田彌三郎に師事。師を通して学んだ、学問と人間の生活とのかかわりをいつも重く見、日本人の発想の原点を考える学風を、深い心根で解き明かしてゆく魅力溢れる多くの論と文を執筆した。専攻は古代国文学・芸能史。万葉集と芸能を中心として研究活動を行う一方、温厚洒脱な人柄で学生にも人気があった。 テレビなどマスコミでも活躍。日本語についての豊富な学識と、わかりやすい解説には定評があった。 【著書】 『風の木水の花:植物故事』(1973年、三友社)、『くらしの季節―日本人の民俗2―』(1976年、実業之日本社)、『日本語の常識非常識』(1986年、講談社)、『日本語の履歴書』(1987年、講談社)、『知っているようで知らない日本語4』(1988年、ゴマブックス)、『知っているようで知らない日本語5』(1988年、ゴマブックス)、『境界芸文伝承研究』(1991年、三弥井書店)、『いい日本語、ちょっとうまい使い方』(1995年、講談社)、『ことわざ万華鏡』(1995年、小池書院)、『どちらが正しい?ことわざ2000』(1995年、講談社)、『誰もが「うっかり」誤用している日本語の本』(1995年、講談社)、『日本人なら知っておきたい日本語』(2002年、幻冬舎)、『古代国文学と芸能史』(2003年、瑞木書房 藤原茂樹編)。 【編集】 池田彌三郎『日本文学伝承論』(1985年、中央公論社)、『折口信夫全集ノート編 追補第一巻(神道概論)』『折口信夫全集ノート編 追補第二巻(言語伝承論)』(1985年、中央公論社)、新編『折口信夫全集』全四一巻(共編、中央公論社)。
藤原 茂樹(ふじわら しげき) 1951年東京生まれ。1973年慶應義塾大学法学部、75年文学部を卒業。同大学院文学研究科博士課程修了。1978年慶應義塾高等学校教諭、1980年以降神戸山手女子短期大学国文科助教授・教授、大谷女子大学国文学科教授を経て、2000年慶應義塾大学文学部教授(現在に至る)。専攻は古代国文学、古代芸能。 【論文】 「海人流転の事その他」「天孫降臨伝承の研究」「春は皮服を著て−北国のうた・まつり・芸能−」「万葉集終焉歌の芸能史的意義」「火中死生」他多数。 【共著】 『万葉から万葉へ−万葉びとの言葉とこころ』(2009年、NHK出版)。 【編著】 『池田彌三郎の学問とその後−霊魂信仰のゆくえ−』(井口樹生著、藤原編、2002年、レビュージャパン)、『古代国文学と芸能史』(井口樹生著、藤原茂樹編、2003年、瑞木書房)、『催馬楽研究』(藤原茂樹編、2011年、笠間書院)。 【監修】 雑誌『NHK 日めくり万葉集』VOL1-24監修・執筆、2008年〜2012年、講談社)。NHKテレビ『日めくり万葉集』全480回、2008年〜2012年監修および「シリーズ万葉玉手箱」でレギュラー出演他。
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