「ないものがある」 ――詩人にとっての虚構とは何か。
▼マラルメの詩をひもときながら、詩人が〈詩人〉となる瞬間と、〈虚構〉が生まれ出る場に立ち会う。
▼芸術に計り知れない影響を与えつづけるフランス近代詩の巨人が、〈理念〉の追求の末に到達した詩境とは何だったのか。 新たに訳した14の詩作品の全文を注意深く読み込むことで、諧謔と皮肉に覆われた「虚構」の森へと分け入り、詩人の「思考」に肉薄する。 著者の豪筆が冴えわたる書き下ろし論考。
週刊読書人 第3062号 (2014年10月24日)(4面)に書評が掲載されました。評者は福島勲 氏(北九州市立大学准教授)です。
序 章 詩人の相貌 詩人の到来 / 詩人自身 / マラルメ自身 / 詩人になる
第一章 誕 生 明快な詩 / 詩人の誕生 / 近代の凡庸 / 役人詩人 / 詩の出自 / クレマン・プリヴェ / 真の作者 / ヨンヌ県の青春 / 口づたえの文学 / 出生の幻影
第二章 幼 年(アンフアンス) 虚構の孤児 / 母の死 / 妹の死 / 青年のおわり / 牢獄たる虚構 / 追憶 / 詩人と芸人 / 詩人になりたかった青年
第三章 詩人と妻と娘 原始の女 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
原 大地(Taichi HARA) 1973年生まれ。慶應義塾大学商学部准教授。2004年、東京大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。同年、パリ第四大学博士課程修了。慶應義塾大学商学部専任講師を経て、2011年より現職。専門はフランス語・フランス文学。主要著書に Lautréamont : vers l' autre. Etude sur la création et la communication littéraires, L'Harmattan, 2006 (2007年渋沢・クローデル賞本賞)、『牧神の午後――マラルメを読もう』 (慶應義塾大学教養研究センター選書、2011年)。
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