プルーストの黙示録
『失われた時を求めて』と第一次世界大戦
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プルーストは「大災厄」をいかに描いたか?
▼「戦争文学」としての『失われた時を求めて』
▼第一次世界大戦中、銃後にとどまったマルセル・プルーストは、新聞七紙を購読しながら、ライフワークの執筆をつづけていた。 終息の見えない戦況を目の当たりにした作家は、愛国的なプロパガンダに従事するのでもなく、反戦活動をおこなうのでもなく、長大な小説の終盤に、進行中の「戦争」を取り込むことを選択した。 そのときプルーストはどのような問題意識を抱え、どのようにして言論界への批評的介入を試みたのか?
同時代につくられた戦争の表象の総体をあらわす「戦争文化」という観点から、 『失われた時を求めて』を読みなおし、プルーストの政治的・社会的・美学的ポジションを再定義する意欲作。
みすず no.645(2016年1-2月号)の「2015年読書アンケート」にて、松本潤一郎氏(フランス文学・思想)、澤田直氏(フランス文学)からコメントをいただきました。
北海道新聞 2015年5月31日に書評が掲載されました。評者は柏倉康夫氏(放送大学名誉教授)です。
図書新聞 第3207号(2015年5月23日)に書評が掲載されました。評者は湯沢英彦氏(明治学院大学フランス文学科教授)です。
はじめに 戦争文学としての『失われた時を求めて』 / 文化史の観点からプルーストを読む
序 章 戦時中のプルースト氏 なぜ私信を読むのか 一九一四年 平和を望む / ドイツ音楽を愛し続ける / 「最初の戦争文学」 一九一五年 「戦前派」のレッテルを貼られて / 「偽りの愛国心」と「本当の『愛国的な』感動」 / 教会の破壊 / 「時期尚早」な戦争文学を「校正」する 一九一六年 ヴェルダンのほうへ / ガリマールのほうへ / 『砲火』から ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
坂本 浩也(Hiroya Sakamoto) 立教大学文学部准教授。1973年生まれ。1999年、東京大学大学院総合文化研究科地域文化研究専攻修士課程修了。2005年、同専攻博士課程単位取得満期退学。2008年、パリ第4大学博士課程修了。文学博士。2011年、国際フランス研究協会賞(Prix de l’AIEF)受賞。
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