▼欲望のパリ、魅惑のオリエント――。19世紀という時代に、人びとは何を夢見ていたのだろうか? 小説、旅行記、大衆文学、ジャーナリズム、鉄道と文学、犯罪、写真、彫刻の世界を訪ね、バルザック、フローベール、マクシム・デュ・カン、ロダンが生きた社会を読み解く。 ▼文化をとおして時代と社会を読み、同時に時代と社会の中に位置づけながら文化的創造行為を読み解く、才気溢れるエッセイ。
はじめに
第一部 文学を読み解く
第一章 欲望と蕩尽の物語――バルザック『あら皮』を読む 第二章 諷刺の美学――フローベール『紋切型辞典』の射程 第三章 オリエントの誘惑――マクシム・デュ・カン、フローベールと東方旅行記の系譜 第四章 大衆小説の射程――ウージェーヌ・シュー作『パリの秘密』をめぐって 第五章 娯楽とイデオロギー――フランスの新聞小説 第六章 テクノロジーの表象――十九世紀フランス文学と鉄道
第二部 近代を遊歩する
第七章 犯罪はどのよ ……
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小倉孝誠(おぐら こうせい) 1956年生まれ。東京大学大学院博士課程中退。パリ第4大学文学博士。慶應義塾大学文学部教授。専門は、近代フランスの文学と文化史。特に歴史、身体、病理、ジェンダーなどを手掛かりに、19世紀の文学、芸術、社会、思想を総合的に読み解いている。また、回想録、自伝、日記など、自己を語るエクリチュールの体系的な研究をめざしている。 著書に『19世紀フランス 夢と創造』(人文書院、1995年、渋沢・クローデル賞)、『歴史と表象』(新曜社、1997年)、『〈女らしさ〉はどう作られたのか』(法藏館、1999年)、『推理小説の源流』(淡交社、 2002年)、『いま、なぜゾラか』(共著、藤原書店、2002年)、『「感情教育」歴史・パリ・恋愛』(みすず書房、2005年)、『身体の文化史』(中央公論新社、2006年)など。また訳書にコルバン『音の風景』(藤原書店、1997年)、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫、2000年)ほか多数。
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