自由を求めて欲望のままに生きた「逸脱者」たち
独身、同性愛、フェティシズム、サド=マゾヒズム…… 激動の近代、既存の枠組みに収まらない人々はどう生きたのか?
逸脱にはさまざまな形が存在する。規範があるから逸脱があり、規範がなければ逸脱も存在しない。逆に逸脱の多様性は、社会を規定する明示的、あるいは暗黙の規範を浮き彫りにする。近代フランスの社会は、男女の身体、情動、欲望をめぐってどのような規範を課し、逸脱はどのように表象されたのか? 小説、自伝、日記、医学書、性科学の啓蒙書などの言説をつうじて読み解いていく。

図書新聞 第3408号(2019年7月20日号)「2019年上半期読書アンケート」(3面)に掲載されました。評者は塚原史氏(フランス文学・思想)です。
岐阜新聞 2019年7月7日「読書」(16面)に書評が掲載されました。評者は椎野信雄氏(文教大教授)です。
山形新聞 2019年7月7日「読書」(8面)に書評が掲載されました。評者は椎野信雄氏(文教大教授)です。

はじめに 規範と抵抗/逸脱と病理の位置づけ/本書の構成 第T部 女たち
第一章 若い娘たちの表象──魂から身体へ 「若い娘」という形象/「夢の女」たちの系譜/夢の女から若い娘へ/ロマン主義時代の若 い娘/「生理学」の言説/十九世紀末における若い娘の変貌――モーパッサンとグールモ ン/エドモン・ド・ゴンクール作『シェリ』の意図/若い娘の身体と病理
第二章 感応遺伝という神話 感応遺伝とは何か/先駆者プロスペル・リュカの著作/ミシュレと愛の言説/ ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
小倉 孝誠(おぐら こうせい) 1956年生まれ。パリ・ソルボンヌ大学文学博士。慶應義塾大学文学部教授。専門は、近代フランスの文学と文化史。著書に、『愛の情景』(中央公論新社、2011年)、『恋するフランス文学』(慶應義塾大学出版会、2012年)、『革命と反動の図像学』(白水社、2014年)、『写真家ナダール』(中央公論新社、2016年)、『ゾラと近代フランス』(白水社、2017年)など。訳書に、フローベール『紋切型辞典』(岩波文庫、2000年)、ユゴー『死刑囚最後の日』(光文社古典新訳文庫、2018年)など。
|