井筒思想の源泉である初期の名著を復刊。 ▼世界的なイスラーム学者、言語学者である故井筒俊彦(1914–1993)自らが〈思想的原点〉と言った初期の代表的著作。 密儀宗教時代、プラトン、アリストテレス、プロティノスに神秘哲学の奥儀を読み解く。 ▼今回の復刊にあたっては、『神秘哲學−ギリシアの部』(世界哲學講座14、哲學修道院、1949年)を底本とし、新字・新かなにあらためた。なお、哲學修道院版は、「井筒俊彦著作集」(中央公論社、1991年)に収録された『新版 神秘哲学』(人文書院、1978-9年)の元本。「著作集」、人文書院版とも現在入手不可。好評『読むと書く』につづく、読者待望の書。 ▼復刊企画として『アラビア哲学』(2011年春)、『露西亜文学』(2011年春)を刊行。
ギリシアの哲人達が、彼等の哲学の底に、彼等の哲学的思惟の根源として、まさしくVita Contemplativaの脱自的体験を予想していることを知った時、私の驚きと感激とはいかばかりであったろう。私はこうして私のギリシアを発見した。(本書 序文より)
出版ニュース 2011年2月下旬号「情報区」欄(14ページ)で紹介されました。
第一部 ギリシア神秘哲学 第一章 ソクラテス以前の神秘哲学 (1)ディオニュソス神 (2)クセノファネス (3)ヘラクレイトス (4)パルメニデス
第二章 プラトンの神秘哲学 (1)序 (2)洞窟の譬喩 (3)弁証法の道 (4)イデア観照 (5)愛【エロース】の道 (6)死の道
第三章 アリストテレスの神秘哲学 (1)アリストテレスの神秘主義 (2)イデア的神秘主義の否定 (3)アリストテレスの神 (4)能動的知性 ……
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
井筒俊彦 Izutsu Toshihiko 1914(大正3)年、東京都生まれ。1931(昭和6)年、慶應義塾大学経済学部予科に入学。のち、西脇順三郎が教鞭をとる英文科へ転進。1937(昭和12)年、慶應義塾大学文学部を卒業し、同大学文学部英文科の助手となる。1950(昭和25)年、同大学文学部助教授を経て、1954(昭和29)年、同文学部大学教授に就任。ギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学、比較言語学などの授業を担当した。1969(昭和44)年、カナダのマッギル大学の教授、1975(昭和50)年、イラン王立哲学研究所教授を歴任した。 1979(昭和54)年、イラン革命のためテヘランを去り、その後は研究の場を日本に移し、著作や論文の執筆、講演などに勤しんだ。 1967(昭和42)年からは、鈴木大拙に次ぐ2人目の日本人として、スイスで開催される国際会議、エラノス会議へ参加し、以後12回にわたって東洋哲学に関する講演を行った。 主な著作に、『コーラン』(翻訳、上中下、岩波文庫、1957-58[昭和32-33]年)、『イスラーム文化』(岩波書店、1981[昭和56]年)、『意識と本質』(岩波書店、1983[昭和58]年)など多数。『井筒俊彦著作集』(全11巻別巻1、中央公論社、1991-93[平成3-5]年)がある。また、1956(昭和31)年に刊行されたLanguage and Magicを始めとして英文による著作を多数執筆。Sufism and Taoism: A Comparative Study of Key Philosophical Concepts、Ethico-Religious Concepts in the Qur'an、Toward a Philosophy of Zen Buddhismなど一連の英文著作で世界的な評価を受けた。 1982(昭和57)年、日本学士院会員。同年、毎日出版文化賞受賞、朝日賞受賞。1993(平成5)年没。 没後、The Izutsu Library Series on Oriental Philosophy(井筒ライブラリー・東洋哲学)として東洋の思想を欧米の言語によって紹介するシリーズ(欧文)が、慶應義塾大学出版会から 2001(平成13)年より刊行されている。
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