絶対的な魅力をもつロシア文学に、孤高の思想家が挑む! ▼本書は、1953年に弘文堂から刊行された 『ロシア的人間』 の前身にあたり、ロシア精神論と、プーシキンからチェーホフまでの作家論からなる。井筒俊彦の思想遍歴を考える分岐点として重要な作品。原典を駆使したロシア文学論であり、作者の実存的経験に強く裏打ちされた独自なロシア文学論として、日本の文芸批評史上、注目するべき一冊である。 ▼近年まで存在すら知られていなかった作品、「ロシアの内的生活」(『個性』思索社、1948年4月号)を附録として付す。 ▼解題は、亀山郁夫氏。
本書は、日本図書館協会選定図書です。
北海道新聞 2011年10月16日「読書欄」(12面)にて紹介されました。
聖教新聞 2011年8月24日「読書欄」(7面)にて紹介されました。
第一章 露西亜文学の性格 第二章 露西亜の十字架 第三章 ピョートル大帝の精神 第四章 プーシキン 第五章 レールモントフ 第六章 チュッチェフ 第七章 ゴーゴリ 附録 ロシアの内面的生活――十九世紀文学の精神史的展望
解題(亀山郁夫)
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
井筒俊彦 Izutsu Toshihiko 1914(大正3)年、東京都生まれ。1931(昭和6)年、慶應義塾大学経済学部予科に入学。のち、西脇順三郎が教鞭をとる英文科へ転進。1937(昭和12)年、慶應義塾大学文学部を卒業し、同大学文学部英文科の助手となる。1950(昭和25)年、同大学文学部助教授を経て、1954(昭和29)年、同文学部大学教授に就任。ギリシャ語、ギリシャ哲学、ロシア文学、比較言語学などの授業を担当した。1969(昭和44)年、カナダのマッギル大学の教授、1975(昭和50)年、イラン王立哲学研究所教授を歴任した。 1979(昭和54)年、イラン革命のためテヘランを去り、その後は研究の場を日本に移し、著作や論文の執筆、講演などに勤しんだ。 1967(昭和42)年からは、鈴木大拙に次ぐ2人目の日本人として、スイスで開催される国際会議、エラノス会議へ参加し、以後12回にわたって東洋哲学に関する講演を行った。 主な著作に、『コーラン』(翻訳、上中下、岩波文庫、1957-58[昭和32-33]年)、『イスラーム文化』(岩波書店、1981[昭和56]年)、『意識と本質』(岩波書店、1983[昭和58]年)など多数。『井筒俊彦著作集』(全11巻別巻1、中央公論社、1991-93[平成3-5]年)がある。また、1956(昭和31)年に刊行されたLanguage and Magicを始めとして英文による著作を多数執筆。Sufism and Taoism: A Comparative Study of Key Philosophical Concepts、Ethico-Religious Concepts in the Qur'an、Toward a Philosophy of Zen Buddhismなど一連の英文著作で世界的な評価を受けた。 1982(昭和57)年、日本学士院会員。同年、毎日出版文化賞受賞、朝日賞受賞。1993(平成5)年没。 没後、The Izutsu Library Series on Oriental Philosophy(井筒ライブラリー・東洋哲学)として東洋の思想を欧米の言語によって紹介するシリーズ(欧文)が、慶應義塾大学出版会から 2001(平成13)年より刊行されている。
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