No.1240(2020年1月号)
新春対談
No.1240(2020年1月号)
新春対談
三田評論
2020年1月号表紙
「新春対談」最大のヒット発言は、福澤克雄氏の塾高時代の回想譚における母上の言葉。「落ちるか、落ちないかぐらいの勉強をするよりもラグビーをやっていたほうが、絶対に社会で使える強い人間になるから、うちの息子にはやらせます!」。それで見事落第した福澤少年が、塾長対談に抜擢されるまでに成長したのだから立派。対照的にこれはまた末恐ろしい塾高生の入江太一君が、天晴れ小泉信三賞を獲得した。「愛」、「芸術」、「虚構」などを縦横無尽に語って、何とも本格派の文芸評論。「人の輪ができるところには芸能があり」、その正体は「共感」であると語る浅野祥氏もまだうら若い三味線奏者である。そして、人の輪ができるところには、もちろん、フラメンコもある(三人閑談)。パコ・デ・ルシアの超絶的ギターと、カルロス・サウラ、アントニオ・ガデス共作の「フラメンコ三部作」映画は、筆者の1980年代を彩る忘れがたい音像・映像である。
鷲見洋一
テレビドラマディレクター、演出家として活躍中の福澤克雄君と長谷山塾長と新春対談です。義塾蹴球部日本一の時のメンバーでもある福澤君演出のドラマ『ノーサイド・ゲーム』は、蹴球部後輩に当たる廣瀬俊朗君の演技も話題となり、ワールドカップラグビー開催を盛り上げました。対談はラグビーから義塾の教育論、そして福澤諭吉論まで話が及び、東京2020を迎える新年に相応しい対談となりました。
小林亜星さん
作曲家・塾員
インタビュアー:三田 完(作家・塾員)
「ワンサカ娘(レナウン)」「狼少年ケン」「北の宿から」 。ある世代以上の人であ......れば、誰もが耳にしたことがある、CMソング、アニメ主題歌、歌謡曲を膨大な数、作曲した小林亜星さん。そのバックボーンは普通部以来の慶應義塾の中で培われたということを説き明かすインタビューです。戦後間もない義塾の自由な教育の様子も窺えます。
日本はスペインに次いで、フラメンコが人気の国だそうです。しかし、複雑な文化的背景が絡まって今の形となったフラメンコの背景はあまり知られていないのでは。義塾出身の踊り手(バイレ)と歌い手(カンタオーラ)を招いてのフラメンコ談義は、スペイン文化の奥深さを思い知らされるものでした。
〈選評〉小川原正道・荻野安奈・権丈善一・須田伸一・早川 浩
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。