No.1289(2024年6月号)
特集
No.1289(2024年6月号)
特集
三田評論
2024年6月号表紙
特集は「海のサステナビリティ―」。紺碧で透明な海の砂浜を散歩して感激しない人はいない。だがそのとき、海洋汚染の深刻な状態を考える人は少ない。レジ袋の有料化、ゴミの分別は当たり前の時代。しかし経済の効率からマイクロプラスチックなど汚染物質は増加の一途だ。世界では学校教育で真剣に取り組む現状の中、日本の小中高教育は遅れが指摘されている。早くから汚染について直視することがその危機意識の糸口になるはず。小特集は「幼稚舎創立150周年」。義塾で働く教職員の子弟の面倒を見た和田塾(のちの幼稚舎)の現在までの歴史は目を瞠るものがある。独自の教育は一貫教育校の原点ともいえる。建学の精神をどのように反映させるのか今後に期待したい。「知れば詠みたい現代短歌」(三人閑談)。日常の心情を今の言葉で詠む短歌は感動する人々の裾野を広げる意味でもその役割は大きい。筆者は今でも俵万智さんの『サラダ記念日』を読むと心に響く。
(伊藤行雄)
現在、海洋汚染、地球温暖化の影響、水産資源の過剰漁獲などで、海の環境がどんどん悪化しています。SDGsのゴール14「海の豊かさを守ろう」をクリアしていくために、私たちはこれからどのようなことをしていけばいいのでしょうか。「誰のものでもない海」を保全・活用するために世界で活動する識者たちによる座談会を始め、海洋環境を考えていく上で示唆に富んだ特集です。
1874(明治7)年に創立した慶應義塾幼稚舎は、本年2024年に150周年を迎えました。この150年にも及ぶ長い伝統が、現在どのように繋がれてきて、今の教育に生かされているのか。現役の幼稚舎教員の方7名によるエッセイで確認する小特集です。
日本の伝統的な文芸の形式であるとともに、現代人の言語表現のかたちとして、今短歌の人気が再燃しています。SNS上では「#tanka」「#57577」と検索すれば、カジュアルでユーモラスな秀句の数々が歌会さながらに溢れています。三十一文字(みそひともじ)というシンプルな制約の中で、口語体でも表現できる現代短歌の魅力に触れ、貴方もぜひ一首詠んでみてはいかがでしょうか。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。