三田評論

明治31年から続く慶應義塾の機関誌

No.1264(2022年3月号)

特集

脳科学研究の最前線

三田評論

─ 表紙絵:清川泰次 ─

税込価格:451円(本体410円)在庫あり

定期購読:4,700円(税・送料込)

在庫について

配送料について

定期購読の申込み

寸描2022年3月号について

三田評論3月号

三田評論
2022年3月号表紙

希望を持たせる脳科学特集。しかし、巽孝之の「さまよえる電脳」に未来への不安が。脳は体重の数パーセントでありながら2割以上のエネルギーを消費する。また、少なくとも同等量の脳を持っていたネアンデルタール人に人類が競り勝てたのは、小脳がわずかに大きかったかららしい。その脳が自滅兵器を開発した。脳は自省もできるはず。「時の話題」にフェムテック。リウマチも女性が男性の4倍も発症しやすく、進行すれば関節の痛みで排尿動作にも難儀する。筆者は20年近く前にこの実態に気づいた看護教員を支援し、企業の協力も得て痛まず間に合う便器と下着を開発した。生理現象に関わる製品開発は実測の困難さを伴う。筆者自身が術後の失禁量を数ヶ月間測り続けて作成した減少曲線は看護の教科書に採用された。希望が持てれば今の不快も乗り越えられる。「セルフビルド」には法律の制約も大きいと知る。國廣純子の「地域協同」は地域活性化の希望に。
(山崎信寿)

特集脳科学研究の最前線

脳科学研究の最前線

アバターを介して人と交流する「メタバース」が話題になり、脳に損傷を負った人を支援するテクノロジーが注目を集めるなど、「脳科学」と呼ばれる領域の研究が盛んです。人間の一器官でありながら、まさに学際的、文理両領域の知見が必要となる脳の研究は、総合大学の様々な場で育まれ、社会実装へ結び付けられつつあるようです。慶應義塾の気鋭の脳科学研究者に最前線の研究を語っていただきました。

座談会
人類の可能性を開拓する総合知の未来

皆川泰代
慶應義塾大学文学部心理学専攻教授
柚﨑通介
慶應義塾大学医学部生理学教室教授、同大学院医学研究科委員長
牛場潤一
應義塾大学理工学部生命情報学科准教授
南澤孝太
慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科教授
駒村圭吾(司会)
慶應義塾大学法学部教授

関連記事

脳と身体の働きからみる「心」の科学
梅田 聡
慶應義塾大学文学部心理学専攻教授
脳科学から見る精神疾患へのアプローチの最前線
田中謙二
慶應義塾大学医学部先端医科学研究所脳科学研究部門教授
さまよえる電脳──サイバーパンク的想像力の系譜
巽 孝之
慶應義塾大学名誉教授、慶應義塾ニューヨーク学院長

話題の人
ダイヤモンド量子センサーで社会を変える

波多野睦子さん

波多野睦子さん

東京工業大学工学院電気電子系教授、応用物理学会会長・塾員

インタビュアー:小尾晋之介(慶應義塾大学理工学部機械工学科教授)

慶應義塾で学び、東工大工学部で初の女性教員となり、応用物理学会会長の職を務める波多野さん。様々な分野を軽やかに横断し、常に社会に役に立つ研究を心がけているその姿勢には、実学の精神が息づいています。ダイヤモンド量子センサーの研究者として、そして教育者としてポジティブに学生を励まし続ける姿に技術立国日本の未来が見えてくるかのようです。

三人閑談
セルフビルド(自力建設)に挑む

セルフビルド(自力建設)に挑む

合理性を追求することで発展を遂げた日本の建設業。それと逆行するように、今密かな注目を集めるのが「セルフビルド(自力建設)」です。タワークレーンが聳える建設現場の風景とは対称的に、限られた人手でコツコツと建物をつくり上げる挑戦には、現代社会から失われつつあるものづくりへの熱い思いが窺われます。建てることの楽しさや難しさにそれぞれ向き合ってきた“セルフビルダー”たちの建設談義に耳を傾けてみました。

岡 啓輔
セルフビルダー、大工、ダンサー
青木 真
ハーフビルドホーム代表取締役・塾員
松川昌平
慶應義塾大学環境情報学部准教授
時の話題
フェムテックで女性支援
人生100年時代のGSMフェムテック&フェムケア──ニューノーマルに向けて 太田博明
「生理CAMP」を通して考えた女性支援 工藤里紗
医療機器規制の観点でみたフェムテック製品と最近の取組み 村上まどか
講演録
福澤諭吉をどう読むか──『学者安心論』の位置づけを中心に
平石直昭
連載
福澤諭吉をめぐる人々その65 大槻三代(その二 磐渓) 齋藤秀彦
写真に見る戦後の義塾68 神宮外苑と医学部・病院 武田純三
新慶應義塾豆百科61 信濃町の地下道
その他
巻頭随筆 丘の上 ────
プロアイスホッケーチーム「横浜グリッツ」を率いて 浅沼芳征
江戸吉原の文化を伝える燈虹塾 日比谷孟俊
執筆ノート ────
『「神」と「わたし」の哲学──キリスト教とギリシア哲学が織りなす中世』 八木雄二
『アフター・メルケル──「最強」の次にあるもの』 唐鎌大輔
『書物に魅せられた奇人たち──英国愛書家列伝』 髙宮利行
『図鑑を見ても名前がわからないのはなぜか?──生きものの〝同定〟でつまずく理由を考えてみる』 須黒達巳
Researcher’s Eye ────
氏より育ち? 新屋みのり
経済実験学は未だ科学にあらず 渡邊直樹
塾員クロスロード ────
地域協同の経験値を重ねる 國廣純子
自らの感覚を感覚する感覚 岸田匡啓
社中交歓 ────
サボテン 福田隆憲、松村亜矢子、冨塚亮平、本谷裕子
慶應義塾教育充実資金へのご支援のお願い
KEIO Report ────
協生環境推進室「女性のからだ支援~Breezeプロジェクト」について 黒田絵里香/中峯秀之
追想 ────
中島龍夫先生を偲んで 貴志和生
楠原偕子先生を偲んで 常山菜穂子
岸 富也さんを偲んで 美浦 隆
ヒサクニヒコのマンガ何でも劇場、寸描(山崎信寿)、山上広場、塾長室日誌(2022年1月)、塾内ニュース、三田会だより、慶應〝塾〟語事典、寄付・維持会申込者芳名
  • 2022年三田評論3月号
  • 2022年三田評論2月号
  • 2022年三田評論1月号
  • 2021年三田評論12月号
  • 2021年三田評論11月号
  • 2021年三田評論10月号
  • 2021年三田評論8・9月合併号
  • 2021年三田評論7月号
  • 2021年三田評論6月号
  • 2021年三田評論5月号
  • 2021年三田評論4月号
  • 2021年三田評論3月号
  • 2021年三田評論2月号
  • 2021年三田評論1月号
前号紹介2022年2月号 No.1263

日本の“食”の未来

さらに詳しく見る

次号予告2022年4月号 No.1265

スマホが変えた社会

さらに詳しく見る

慶應義塾維持会

慶應義塾維持会

母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。

さらに詳しく見る

BOOKS慶應義塾大学関連の書籍

  • 應義塾 歴史散歩 キャンパス編
  • 慶應義塾 歴史散歩 全国編
  • 福澤諭吉 歴史散歩
  • 小泉信三エッセイ選 1 善を行うに勇なれ
  • 小泉信三エッセイ選 2 私と福澤諭吉
  • 應義塾 歴史散歩 キャンパス編
  • 慶應義塾 歴史散歩 全国編
  • 福澤諭吉 歴史散歩
  • 小泉信三エッセイ選 1 善を行うに勇なれ
  • 小泉信三エッセイ選 2 私と福澤諭吉