No.1235(2019年7月号)
特集
No.1235(2019年7月号)
特集
三田評論
2019年7月号表紙
昔、NASDA企画による集団宇宙旅行シミュレーションがあった。地下の住居空間に多国籍の人間が集合して送る数週間程度の共同生活。途中で発生した厄介な人間関係のトラブルに対して関与を拒み、ミッションを放棄したいとまで言い出したのが唯一日本人だったという。老若男女を問わず、日本人は「外国人嫌い」、いや根源的に「人嫌い」なのだ。かくいう筆者自身そうなのかも。翻って本誌で「移民」という複雑で深刻な問題を誠実に話し合う面々は、少しでも日本を開明的な国にしようとする天晴れなエリートである。だが、こうした座談会には憂鬱になる。そうした善意の例外的な人々の背後に無言でわだかまる数千万人の人嫌い集団がいるからだ。移民どころではない。市バスのベビーカーに対する乗客の無関心や敵意。私たちは「先祖」と「身内」以外、一切を排除する野蛮人なのかも。しかし「三人閑談」の「文楽」には文明人の香りがしたこともまた事実。
鷲見洋一
この4月、改正入管法が施行されたことで日本における外国人労働者のあり方に注目が集まっています。現在すでに日本には270万人をこえる在留外国人が生活しているという現実を踏まえると、少子高齢化が進む日本の社会の将来を考える際に「移民社会化」の問題は避けて通れません。多様化していく日本の現実に向き合う特集です。
若松 格さん
ゼネラルモーターズ・ジャパン株式会社代表取締役社長・塾員
インタビュアー:牧野賢一(慶應義塾体育会自動車部OB)
大きなボディと独特の排気音のアメ車(アメリカ車)に憧れた車好きの方もいるのではないでしょうか。ゼネラルモーターズ・ジャパン社長の若松さんは幼少期にアメリカで見たコルベットが忘れられずに、今の仕事を続けているそうです。単なる移動の道具というだけではなく、夢や感動をも与えてくれる車の魅力に気づかせてくれるインタビューです。
大阪を代表する伝統芸能である人形浄瑠璃文楽。文楽人形遣いの吉田玉男師匠を迎え、その魅力を存分に語り合いました。世界で1つだけと言われる「三人遣い」の人形は太夫の声に応えて自在に感情を表現します。歌舞伎とはまた一味違った文楽の世界の奥深さを知る閑談です。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。