No.1232(2019年4月号)
特集
No.1232(2019年4月号)
特集
三田評論
2019年4月号表紙
平成の掉尾を飾る号である。昭和の戦時に生まれ、平成を生きた筆者にはいろいろ琴線に触れてくる記事あり。「時の話題平成を振り返る」は平成だけでなく、その前の昭和までをも回顧し総括する企画になっている。平成と宝永とを重ね合わせる磯田道史氏の史観、消費税に注目する土居丈朗氏の「宿題」、右翼の変質を指摘する片山杜秀氏の慧眼、いずれも納得。すでに還暦を超えた東京タワーをめぐる「三人閑談」が、昭和の象徴のような電波塔を語れば、平成を彩る最大の目玉「インターネット文明論之概略」を村井純氏が論じている。思わず苦笑したのは、世界がインターネットで「つながる」と強調する村井氏のページの少し前に、特集「日本人の休み方」が組まれ、座談会ではフランスなどの「つながらない」権利が議論されているという駄洒落のような対照関係の妙。それにしても日本人は休みの取り方が本当に下手だ。フランス人と足して二で割ったらいい。
鷲見洋一
今月から一連の働き方改革関連法が施行され、5日間の「年次有給休暇取得」が義務化されます。「休み下手」とも言われる、日本人。ワークライフバランスの観点からも、適切な「休み」を取ることが必要とされていますが、長期休暇のみならず睡眠を中心とした日々の「リカバリー」が仕事の生産性に影響を与えることは明白なようです。「休み方」の見地から「働き方」を考えていく、タイムリーな特集です。
茂木奈津子さん
アスレティック・トレーナー・塾員
インタビュアー:石田浩之(慶應義塾大学スポーツ医学研究センター教授)
昨年9月の全米オープンテニス優勝以来、快進撃を続けている大坂なおみ選手。茂木さんは、昨年11月まで「チームオオサカ」のアスレティック・トレーナー(AT)として、大坂選手の躍進を支えてきました。トレーナーとして、世界を舞台に活躍する日本人はまだ珍しい存在です。「トレーナー」の役割とは何か、塾庭球部からトレーナーを目指すようになったきっかけなど、スポーツを支える慶應義塾卒業生の姿を紹介します。
昨年末に「還暦」を迎えた東京タワー。三田キャンパスや芝共立キャンパスからも近く、東京のシンボルとして、今や、外国人観光客からも大変な人気です。設立された1958(昭和33)年はちょうど慶應義塾創立100年の年。三田通りからの東京タワーはドラマなどの撮影スポットとしても人気で、慶應との縁も深いものがあります。これからも東京のランドマークとして存在し続けるであろう、東京タワーの歴史と今を展望する閑談です。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。