三田評論

明治31年から続く慶應義塾の機関誌

No.1237(2019年10月号)

特集

裁判員制度10年

三田評論

─ 表紙絵:鎮目守治 ─

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三田評論6月号

三田評論
2019年10月号表紙

サリンジャー『ライ麦畑』の一行目「もし君が」の「君」は、この本を読んでいる「僕」のことだとは衝撃だった(三人閑談)。「僕」の内面にいきなり突き刺さる「異人」の声。このテーマは本号の随所に散布されていないか。鳥居元塾長は、義塾に初めてコンピューターを導入した(清家篤)。文系の筆者の記憶でも、この時の違和と感動は生々しい。「一つの地域の問題を、その地域だけで理解してはいけない」という指摘もまさにそれだ(小熊英二、執筆ノート)。クラシック音楽は、東日本大震災以降、「精神的必需品」になった、という述懐も(林田直樹、丘の上)。そして、以上すべてが、特集「裁判員制度10年」に収斂している。特集はこれにまつわる論議や問題を尽くしてあますところがない。サリンジャー風に言い換えれば「もし君が裁判員になったら」の話なのだ。だがアマチュアでも、裁判員もまた人生の「専門家」であることに変わりはない。

鷲見洋一

特集裁判員制度10年

裁判員制度10年

裁判員制度が施行されてから10年がたち、日本の刑事裁判はどのように変わったのでしょうか。一般国民が裁判官とともに評議を行い、人を裁くことに関わるという、日本で初めての試みを検証します。裁判員を経験したことへの満足度が96%に達する一方、辞退率は増加傾向にあり、今後の課題についても考えていく特集です。

座談会
「国民の司法参加」は何を変えたか──その先の10年を見据えて

澤田敦子
主婦、裁判員経験者
牧野 茂
弁護士、裁判員経験者ネットワーク共同代表世話人・塾員
鈴木(宮﨑)朋子
東京高等検察庁検事、慶應義塾大学大学院法務研究科教授
石田寿一
東京地方裁判所判事・塾員
小池信太郎
慶應義塾大学大学院法務研究科教授(司会)

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井田 良
中央大学法科大学院教授、慶應義塾大学名誉教授
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亀井源太郎
慶應義塾大学法学部教授
心理学から見た裁判員制度
伊東裕司
慶應義塾大学文学部心理学専攻教授

話題の人
ニッポン放送初の女性社長に就任

檜原麻希さん

檜原麻希さん

ニッポン放送代表取締役社長・塾員

インタビュアー:池上真之(サクラス代表取締役、グロービス経営大学院客員准教授・塾員)

ラジオの在京キー局としてはじめての女性社長となった、ニッポン放送の檜原さん。デジタル化以降、ある意味ではテレビよりも先進的な試みを続けている「古くて新しいメディア」であるラジオ局をどのように引っ張っていくのか。「いつでもどこでも聞けるラジオ」の時代に、その抱負を伺いました。

三人閑談
サリンジャー生誕100年

サリンジャー生誕100年

若い頃、『ライ麦畑でつかまえて』に心を「つかまえ」られた方も多いのではないかと思います。刊行から約70年、なお日本の最新アニメ映画に登場するその作品は、アメリカで、そして日本で熱狂と批判の中で迎えられ、読み続けられてきた珍しい小説と言えるでしょう。その長い隠遁生活とあいまって不思議な魅力を放つ作家・サリンジャーを若い世代の論者も交えて語ります。

武・アーサー・ソーントン
東洋大学文学部日本文学文化学科准教授
尾崎俊介
愛知教育大学教育学部教授・塾員
蛙田あめこ
小説家(ライトノベル作家)・塾員
追悼 鳥居泰彦君
鳥居泰彦元塾長を偲んで 長谷山 彰(慶應義塾長)
慶應義塾と鳥居元塾長の貢献 小松隆二(慶應義塾大学名誉教授、元常任理事)
鳥居泰彦先生と剣道 福本修二(慶應義塾大学名誉教授、体育会剣道部名誉師範)
尽きぬ思い出 蓑谷千凰彦(慶應義塾大学名誉教授)
教育者・研究者としての鳥居先生 秋山 裕(慶應義塾大学経済学部准教授)
弔辞 清家 篤(日本私立学校振興・共済事業団理事長、慶應義塾学事顧問、前塾長)
連載
福澤諭吉をめぐる人々その39 ドクトル・シモンズ 山内慶太
写真に見る戦後の義塾41 1970年代の三田通り──懐かしい喫茶店 平尾保弘
新慶應義塾豆百科40  文化団体連盟
その他
巻頭随筆 丘の上 ────
プナホウ留学50周年の式典に参加して 久保内光一
名橋「日本橋」への思い新たに 中村胤夫
クラシック音楽でいま何が起きているか 林田直樹
井筒俊彦英文著作集完結を祝して 山内志朗
演説館 ────
日本の鉄道、世界へ跳ぶ──現地に入り、文化に根ざす小島泰威
執筆ノート ────
『中世武士の勤務評定──南北朝期の軍事行動と恩賞給付システム』 松本一夫
『新宿二丁目』 伏見憲明
『地域をまわって考えたこと』 小熊英二
Researcher’s Eye ────
「当たり前」が当たり前ではなくなる話 黒川義教
やる気と根気 田中謙二
アメリカでアラブ料理を食べ歩く 山本 薫
塾員クロスロード ────
「深化による進化」──地域密着のすすめ 丸谷智保
起業家精神 千良鉉
社中交歓 ────
スカート 松田祐之、渡辺陽子、出井大裕、堀田隆一
KEIO Report ────
吉記念館建て替え工事の進捗 渡辺浩史
慶應義塾におけるサイバーセキュリティ研究の取り組み 手塚 悟
ヒサクニヒコのマンガ何でも劇場、寸描(鷲見洋一)、山上広場、塾長室日誌(2019年7・8月)、塾内ニュース、三田会だより、慶應〝塾〟語事典、寄付・維持会申込者芳名
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前号紹介2019年8・9月合併号 No.1236

サステナブルな消費

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