No.1239(2019年12月号)
特集
No.1239(2019年12月号)
特集
三田評論
2019年12月号表紙
12月号には驚いた。まるで筆者の全人生の走馬灯。「追想」欄で取り上げられている香山芳久先生は、普通部で筆者の担任だった恩師である。亡くなる9日前の9月1日、菊名のお宅にお見舞いに伺ったが、その直後、すぐに向かったのが、盟友岩松研吉郎の通夜の席だった。幼稚舎から2学年違いの下級生だった左翼少年が、いつしか1965年の学生紛争を主導する活動家に成長し、その俤が「大学紛争の時代」のページで偲ばれる。大学に進んだ筆者が仏文で机を並べた湯川豊が、今回「執筆ノート」で自著を紹介している。冒頭で礼状の一部が引かれている「大学時代からの親しい友人」とは、何を隠そう、筆者のことである。われわれはそれなりに、皆「ピーターパン」だったのか(「社中交歓」)。その意味でも、特集「在宅ケア」は、古希や喜寿を過ぎて、そろそろ幕引きを考える筆者のような世代にとっては、「切実」などでは済まない痛切な響きがある。
鷲見洋一
近年、高齢社会の進展、医療技術の発展とともに「在宅ケア」の存在感が増してきました。「病院でなく自宅で療養したい」、また終末期においても「最後は家で過ごしたい」というニーズが大きくあり、それを支援する、医療、看護、介護、リハビリといった専門職も充実しつつあります。「在宅ケア」の現状とこれからの課題は何かを特集しました。
「釜めし」「いかめし」「シウマイ弁当」、どれも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。老舗の駅弁業の舵取りを担う、若き塾員経営者に、新しい駅弁の楽しみ方を語っていただきました。かつて、鉄道旅行の旅情を誘うものとして欠かせないものであった「駅弁」は高速移動化する社会の中で、どのようにその楽しみ方が変わっていったのでょうか。
母校を思う塾員と篤志家の皆様により、義塾の教育研究活動を財政支援する目的で設立された1世紀余の歴史を有する組織です。
会員の皆様にはご加入期間『三田評論』を贈呈いたします。