芸術とは何か、いよいよ明らかにされる―― 20世紀以降の芸術の定義をめぐる哲学的系譜を丹念に辿りながら、「命題態度説」という独自の定義に到達する壮大な思索の軌跡
芸術とは何か──この問いは、古代から現代に至るまで諸領域において繰り返し立ち現れてきた。本書は、分析哲学系の芸術定義200種類あまりを網羅しながら、芸術の本質を再考する試みである。20世紀以降の美学的言説に加え、現代アートの実践や批評理論を参照したうえで、「命題態度説」という独自の定義を提示する。 芸術をめぐる議論の複雑性に対して、理論的厳密さと柔軟な思考をもって応答し、芸術哲学の地平を更新する包括的な書。

〈芸術定義枝分かれ図〉 序
第1章 芸術定義論の哲学的地位 1 定義の諸様相と諸規範 2 二つの試練――錯誤理論と反例論法
第2章 美的定義の諸理論 1 形式的対処と頑固な本質主義 2 「美的」の再解釈 3 「作品」の再解釈 4 「美的」を「作品」に帰属させる方法の再解釈 5 真偽認定の再解釈 6 美的錯誤理論への耐性獲得
第3章 非美的定義・反定義の諸理論 1 「美的」の放棄 2 本質主義の放棄 3 必要十分条件の放棄 ……
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三浦俊彦(みうら・としひこ) 1959年長野県生まれ。東京大学名誉教授・和洋女子大学名誉教授。博士(文学)。1983年東京大学文学部美学芸術学科卒業、1989年東京大学大学院総合文化研究科博士課程満期退学。和洋女子大学教授、東京大学文学部教授を経て現在に至る。 著書に、『虚構世界の存在論』(勁草書房)、『可能世界の哲学――「存在」と「自己」を考える』(改訂版 二見文庫)、『多宇宙と輪廻転生――人間原理のパラドクス』(青土社)、『エンドレスエイトの驚愕――ハルヒ@人間原理を考える』(春秋社)など多数。
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