▼オバマケアの復活なるか ▼パンデミックが暴く、アメリカを蝕む真の「病」とは何か――
世界一の超大国アメリカで、 コロナウイルスの犠牲者が最も多いのはなぜか。 医療ミスにより、生死の淵を彷徨うなかで、 コロナ禍に遭遇した著者による病床からの緊急レポート!
本書は、肝疾患による敗血症のために生死の淵を彷徨う体験を経た著者が、パンデミック(コロナ禍)の感染者数、死者数とも世界一となっているアメリカの医療システムや公衆衛生の脆弱さ、人権問題、民主主義の衰退を衝く、病床からの緊急レポートである。
著者はかろうじて生還するが、そこで体験したアメリカの医療システムの患者軽視や電子化の弊害、体を動かすこともままならないなかで感じた怒りや共感を病床日記に記す。そして、「自由」の真の意味での復活と個人の健康とのかかわり、孤独と連帯の相補についての考察を深め、オーストリアでの長男誕生とアメリカでの長女誕生の経験から両国の医療システムや子育てについての比較を記し、トランプを頂点とするアメリカの権威主義体制や医療の世界にも及んでいる経済寡占について具体的で鋭い批判を展開する。
トランプが退場したいま、アメリカの医療制度はどこまで変わるのか。オバマケアの復活はなるのか。アメリカを蝕む真の「病」を明らかにする。


しんぶん 赤旗 2021年5月23日号(p.29)に書評が掲載されました。評者は矢部武氏(ジャーナリスト)です。
週刊東洋経済 2021年3月27日号(p.103)「話題の本・ブックレビュー」に書評が掲載されました。評者は中岡望氏(ジャーナリスト)です。
しんぶん赤旗 2021年5月23日号読書面に書評が掲載されました。評者は矢部武氏(ジャーナリスト)です。

プロローグ 孤独と連帯 序 論 私たちの病 第1章 医療は人間としての権利だ 第2章 再生は子どもたちとともに始まる 第3章 真実が私たちを自由にする 第4章 医師たちが現場を仕切るべきだ 結 論 私たちの回復 エピローグ 怒りと共感
謝 辞 訳者あとがき 原 註
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[著者] ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder) 1969年オハイオ州生まれ。イェール大学歴史学部教授。ウィーン高等研究所(IHS)パーマネントフェロウ。オクスフォード大学でPh.D.を取得。専攻は中東欧史、ホロコースト史、近代ナショナリズム研究。15冊の著作は40以上の言語に訳されている。邦訳されている著書として『自由なき世界――フェイクデモクラシーと新たなファシズム』『暴政――20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』『ブラックアース――ホロコーストの歴史と教訓』『赤い大公――ハプスブルク家と東欧の20世紀』(いずれも慶應義塾大学出版会。2020年、2017年、2016年、2014年)、『ブラッドランド』(2015年)、インタビュアーを務めたトニー・ジャットの『20世紀を考える』(2015年)がある。2017年1月に初来日し、慶應義塾大学、東京大学などで講演を行った。冷戦構造の崩壊を学部生時代に経験し、英独仏語だけでなく、スラブ諸語の一次資料をも自在に活用する学風は、ホロコースト論でも新境地を開いたと高く評価されている。ハンナ・アーレント賞をはじめ多彩な受賞歴を誇る。世界に蔓延するポピュリズムや権威主義体制などへの批判をさまざまなメディアを通じて発信しており、アメリカ国内外を問わずきわめて大きな影響力を持つオピニオンリーダーの一人と目されている。
[訳者] 池田 年穂(いけだ としほ) 1950年横浜市生まれ。慶應義塾大学名誉教授。歴史学者。ティモシー・スナイダーの日本における紹介者として、本書のほかに『自由なき世界』『暴政』『ブラックアース』『赤い大公』を翻訳している(2020年、2017年、2016年、2014年)。タナハシ・コーツの紹介者として『僕の大統領は黒人だった』と『世界と僕のあいだに』を翻訳している(2020年、2017年)。他に、パメラ・ロトナー・サカモト『黒い雨に撃たれて』(2020年)、ピーター・ポマランツェフ『プーチンのユートピア』(2018年)など多数の訳書がある(いずれも慶應義塾大学出版会)。
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