自由なき世界 上
フェイクデモクラシーと新たなファシズム
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▼ロシアはなぜクリミアに侵攻したのか 法の支配を無効化し、民主主義を混乱に陥れ、歴史を葬り去る「永遠の政治」。 プーチンによる「永遠」の体制は、純潔無垢なるロシアの復活を唱え、 EUの破壊を画策し、遂にはウクライナの混乱に乗じてクリミアを併合する。
ロシアはなぜクリミアに侵攻したのか――。
20世紀末、ソ連が崩壊し、冷戦が終結したのに伴い、 自由民主主義の勝利が確定したかに思われた。 一部の識者は、平穏でグローバライズされた未来を確信し、「歴史の終焉」を宣言した。 だが、そう信じたのは見当違いだった。 2000年にロシアの大統領となったプーチンは、 オリガルヒ(新興財閥)とファシズムを混交させた新たな権威主義体制を構築し、 ロシアに新たなファシズムが現れたのである。 法の支配を無効化し、民主主義を混乱に陥れ、 歴史を葬り去るプーチンの「永遠の政治」は、やがて、 純潔無垢なるロシアの復活を唱え、EUの破壊を画策し、 遂にはウクライナの混乱に乗じてクリミアを併合する。
プーチンの思想に鋭くメスを入れ、右傾化する世界の実態を捉える世界的な話題作。


図書新聞 2022年5月21日(第3543号)の岡和田晃氏「〈世界内戦〉下の文芸時評」第87回(5面)にて、本書が紹介されました。
『朝日新聞』 2022年4月30日(7面・読書面)「ひもとく・戦争と憲法」で、本書が紹介されました。紹介者は長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)です。 本文はこちら(全文は有料会員のみです)
橘玲×ZAi ONLINE 2022年4月7日「橘玲の日々刻々・ウクライナ侵攻の背景にあるプーチンの「ロシア・ファシズム」思想。ロシアは巨大な「カルト国家」だった」で、本書が紹介されました。紹介者は橘玲氏(経済小説作家)です。 本文はこちら

プロローグ(2010年) 第1章 個人主義か全体主義か(2011年) 第2章 継承か破綻か(2012年) 第3章 統合か帝国か(2013年) 第4章 新しさか永遠か(2014年) 上巻原註
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[著者] ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder) 1969年オハイオ州生まれ。イェール大学歴史学部教授。オクスフォード大学でPh.D.を取得。専攻は中東欧史、ホロコースト論、近代ナショナリズム研究。邦訳されている著書として『赤い大公――ハプスブルク家と東欧の20世紀』『ブラックアース――ホロコーストの歴史と教訓』『暴政――20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』(いずれも慶應義塾大学出版会、2014年、2016年、2017年)、『ブラッドランド』(2015年)、インタビュアーを務めたトニー・ジャットの遺著『20世紀を考える』(2015年)がある。2017年1月に初来日し、慶應義塾大学、東京大学などで講演を行った。ブラウン大学を卒業しオクスフォード大学に転じた1991年にソ連崩壊を経験したため、英独仏語だけでなくスラブ諸語の一次資料をも自在に活用する学風は、ホロコースト論でも新境地を開いたと高く評価されている。ハンナ・アーレント賞をはじめ多彩な受賞歴を誇る。また、ウクライナ情勢の信頼できる解析者であるだけでなく、世界に蔓延するフェイクデモシーへの批判をさまざまなメディアを通じて発信しており、アメリカでもきわめて大きな影響力を持つオピニオンリーダーの一人と目されている。
[訳者] 池田 年穂(いけだ としほ) 1950年横浜市生まれ。慶應義塾大学名誉教授。ティモシー・スナイダーの日本における紹介者として、本書のほかに『赤い大公』『ブラックアース』『暴政』(2014年、2016年、2017年)を翻訳している。タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』(2017年)、マーク・マゾワー『国連と帝国』(2015年)、ピーター・ポマランツェフ『プーチンのユートピア』(2018年)など多数の訳書がある(出版社はいずれも慶應義塾大学出版会)。
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