自由なき世界 下
フェイクデモクラシーと新たなファシズム
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▼格差がファシズムを呼び寄せる ヨーロッパにおける相次ぐ右派政権の誕生、イギリスのEU離脱、アメリカのトランプ大統領誕生。西側を結束させてきた民主主義の価値観は、いまなぜ動揺し、世界は混乱しているのか。新たなファシズムの台頭に警鐘を鳴らす。
トランプはなぜ大統領になれたのか――。
2010年代、ロシアに起こった富者による支配を正当化する 権威主義体制は東から西へと広まった。 それを助けたのは、ロシアによるウクライナ侵攻と、 ヨーロッパやアメリカに対するサイバー戦争である。 ロシアは、世界中のあらゆる場所に、ナショナリストやオリガルヒ、 急進派の協力者を見出し、西側の制度や国家、価値観を解体したいというその欲望は、 西側自体のなかにも共鳴者を見出してゆく。 ポピュリズムの隆盛やイギリスのEU離脱(ブレグジット)、ドナルド・トランプ大統領誕生は いずれもロシアが目標とするものだったが、それらが達成できたのは 西側社会や民主主義自体の脆弱さが露見したのだとも言える。
民主主義や法による支配を脅かす、新たなファシズムの台頭に警鐘を鳴らす『暴政』の姉妹篇。


図書新聞 2022年5月21日(第3543号)の岡和田晃氏「〈世界内戦〉下の文芸時評」第87回(5面)にて、本書が紹介されました。
『朝日新聞』 2022年4月30日(7面・読書面)「ひもとく・戦争と憲法」で、本書が紹介されました。紹介者は長谷部恭男氏(早稲田大学教授・憲法学)です。 本文はこちら(全文は有料会員のみです)
橘玲×ZAi ONLINE 2022年4月7日「橘玲の日々刻々・ウクライナ侵攻の背景にあるプーチンの「ロシア・ファシズム」思想。ロシアは巨大な「カルト国家」だった」で、本書が紹介されました。紹介者は橘玲氏(経済小説作家)です。 本文はこちら

第5章 真実か嘘か(2015年) 第6章 平等か寡頭政治か(2016年) エピローグ 20―年 謝辞 訳者あとがき 下巻原註 索引
著者略歴は書籍刊行時のものを表示しています。
[著者] ティモシー・スナイダー(Timothy Snyder) 1969年オハイオ州生まれ。イェール大学歴史学部教授。オクスフォード大学でPh.D.を取得。専攻は中東欧史、ホロコースト論、近代ナショナリズム研究。邦訳されている著書として『赤い大公――ハプスブルク家と東欧の20世紀』『ブラックアース――ホロコーストの歴史と教訓』『暴政――20世紀の歴史に学ぶ20のレッスン』(いずれも慶應義塾大学出版会、2014年、2016年、2017年)、『ブラッドランド』(2015年)、インタビュアーを務めたトニー・ジャットの遺著『20世紀を考える』(2015年)がある。2017年1月に初来日し、慶應義塾大学、東京大学などで講演を行った。ブラウン大学を卒業しオクスフォード大学に転じた1991年にソ連崩壊を経験したため、英独仏語だけでなくスラブ諸語の一次資料をも自在に活用する学風は、ホロコースト論でも新境地を開いたと高く評価されている。ハンナ・アーレント賞をはじめ多彩な受賞歴を誇る。また、ウクライナ情勢の信頼できる解析者であるだけでなく、世界に蔓延するフェイクデモシーへの批判をさまざまなメディアを通じて発信しており、アメリカでもきわめて大きな影響力を持つオピニオンリーダーの一人と目されている。
[訳者] 池田 年穂(いけだ としほ) 1950年横浜市生まれ。慶應義塾大学名誉教授。ティモシー・スナイダーの日本における紹介者として、本書のほかに『赤い大公』『ブラックアース』『暴政』(2014年、2016年、2017年)を翻訳している。タナハシ・コーツ『世界と僕のあいだに』(2017年)、マーク・マゾワー『国連と帝国』(2015年)、ピーター・ポマランツェフ『プーチンのユートピア』(2018年)など多数の訳書がある(出版社はいずれも慶應義塾大学出版会)。
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